私たちの事業活動に関して法令遵守はもちろん、環境に与える影響を減らすなど、さまざまな取り組みについてご紹介します。
環境影響の遵法管理
環境リスク管理の基本方針
アドバンテストグループでは、環境法規制より厳しい自主基準値を設定し、環境影響の発生する設備の運用や監視・測定を実施しています。
また、万が一の事故発生時に、迅速に対応するため、設備の運用手順書や化学物質緊急時対応手順書などの環境リスクに対応するルールや管理体制などを整備しています。
さらに、リスクの高い作業に従事する従業員や委託業者に対し、専門教育や緊急時訓練を定期的に実施し、スキルアップを図ることで、事故や緊急事態に迅速に対応できる人財を育成しています。
事業所の遵法管理
2023年度は、水質の自主基準値の超過が2件発生しました。超過した2件については、早急に是正措置を施した結果、基準値以内に回復しています。大気については自主基準値を超えた件数はありません。
化学物質管理
化学物質管理の基本方針
アドバンテストグループでは、社内で使用する化学物質について、使用・保管における安全管理の徹底と法規制の遵守に取り組んでいます。
このために化学物質管理システムを使用しています。このシステムによって、化学物質の登録・審査・収支および法規制に対応した集計や、化学物質の安全な取り扱いに必須となるSDSの常時閲覧が可能となっています。
また、リスク管理、化学物質管理の強化を図るために、安全教育体制の構築や化学物質の統括管理部署による保管場所監査、指導を実施し、安全管理体制のさらなる強化に取り組んでいます。
「各国環境規制への対応」の項に記載したように、製品・品質・安全におけるグローバルな遵法体制を構築しています。化学品(化学物質)の安全管理においても、今後、この体制を利用し、各販社での安全管理を推進する予定です。
化学物質管理のレベルアップ ~より精度の高い管理を目指して~
アドバンテストグループが業務で取り扱っている化学物質は、化学物質管理システムにより、容器単位で管理しています。PRTR法、毒劇法、労働安全衛生法、その他の法規制に該当する化学物質の管理レベルによって管理ランクを分け、ランクごとに異なる管理方法を設定し、柔軟な対応を図っています。
また、法令改正に伴い、2016年6月より義務化された「化学物質リスクアセスメント」については、社内で実施体制を構築し、実行しています。
薬品の危険性に応じた、より精度の高い管理方法の導入
当社グループでは従業員への化学物質教育を実施し、化学物質の取り扱いや注意点を周知徹底しています。また、危険度の低い化学物質に関しては、管理を簡素化し、市販のスプレー、接着剤などについては自主管理としています。
化学物質の管理ランク
このような管理にあわせ、利用後は、廃棄処理業者に依頼するなどして、適切に処理しています。
PFASへの取り組み
新製品でのPFAS冷却液撤廃への取り組み
アドバンテストは、「環境破壊物質を使用しない製品開発を行う」ことをESG行動計画の目標の一つに掲げています。2030年度までに冷却液のPFAS全廃をKPIとし、次世代テスターに採用する冷却液には水を使用する計画です。2022年度は、水を使用した間接冷却技術の冷却性能や耐久性の確認を行いました。この技術を適用した新製品を2024年度より出荷予定です。
PFAS冷却液供給の課題
PFAS冷却液撤廃を目指す一方で、現行機種向けのPFAS冷却液供給の課題に対応する必要があります。 そのため、以下の対策を引き続き組織横断で取り組んでいます。
-
現在使用しているPFAS冷却液の代替品評価
-
生産部門によるPFAS冷却液の調達リスク対策
-
*PFASとは、特定の化学物質の名称ではなく、「パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」(Per- and PolyFluoroAlkyl Substances)の頭文字の総称。
排出状況把握等の取り組み
揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制への取り組み
VOCは、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の生成原因物質となるとされ、大量に使用する施設については、大気汚染防止法第17条の13の規定により、事業者の責務として、事業活動に伴うVOCの大気中への排出等の状況を把握するとともに、排出等を抑制するために必要な措置を講ずることが義務づけられています。
電機・電子業界は、VOCの使用量が少ない業界ですが、経済産業省からのVOC排出抑制のための自主的取組の要請に基づき、電機・電子4団体(JEMA、CIAJ、JEITA、JBMIA)として、2005年から2020年まで調査協力しました。
対象物質は、電機・電子業界では使用量の多い20物質です。当社も、使用量は少ないですが、当該物質の使用量調査および必要な報告を行っています。
VOCデータ
-
*集計対象物質は電機・電子4団体におけるVOC調査対象物質である
PRTR報告
化管法に基づき、PRTR(化学物質排出移動量届出)制度に従った報告を行政に対し行っています。
PRTRデータ
-
*年間使用量がPRTR法の報告量未満の対象物質も含む
e-learningによる化学物質一般教育、化学物質専門教育の実施
化学物質一般教育では、身近な化学物質でも誤った取り扱いが思わぬ事故や環境汚染を引き起こす可能性があります。それらのリスクを低減する方法を理解することを目的として、国内全従業員を対象に実施しています。
化学物質専門教育は、日常業務で化学物質を使用する社員を対象としています。危険有害性の認識を持つこと、また安全に取り扱うという2つの観点からより実践的な内容としており、毎年e-learningで実施しています。同プログラムでは、毒物・劇物、有機溶剤、特定化学物質、消防法危険物など、主要な法律により規制を受ける化学物質について、事故事例なども交え、わかりやすく解説をしています。
2023年度は、一般教育を国内全新入社員に、また専門教育は化学物質使用者271名に実施しました。
内容
-
化学物質の危険性(人体への影響)
-
作業者安全教育の重要性
-
保護具(手袋、眼鏡、マスク等)着用の重要性
-
法規制により要求される遵守事項
特殊健康診断、作業主任者選定、環境測定、排気装置の点検管理、消防法危険物の届出など
取引先への働きかけ
グリーン調達/製品含有化学物質規制への取り組み
アドバンテストは、部品の取引先や組立・加工協力会社を含めた生産活動全体で有害物質排除を徹底し、グリーン製品の開発につなげたいと考えています。取引先とのコミュニケーションを推進し、製品に組み込む部品・材料や製造プロセスにおいても、品質、コスト、納期に加えて環境保全の視点を取り入れるため、2002年度より「アドバンテストグリーン調達ガイドライン」を策定し、運用しています。同ガイドラインの記載内容に変更があれば、電子取引・技術情報交換システム(ポータルサイト)経由で通達し、取引先に協力を求めています。
取引先からいただいた環境情報は、データベース化し、製品環境アセスメントと連携して、「環境に配慮した製品づくり」を推進しています。
海外拠点においても同様に、アドバンテストにおける環境の遵守事項を定めたGSE (General Specification for The Environment)* を生産の際の契約として締結し、製品含有化学物質の排除と報告必要物質の把握を行っています。
-
*GSEとはアドバンテストが購入する製品および包装材に含まれる部品、構成部品、材料に含まれる特定の物質を制限または禁止するためのアドバンテストの一般的な要求事項を規定するものです。具体的な報告および表示に関する要求事項を含みます。
グリーン調達基本原則
グリーン調達における部品登録
部品登録については、取引先のご協力をいただき、アドバンテスト製品含有化学物質の運用基準に基づき、当社の環境調査票により調達部材の環境調査を実施しています。環境に負荷を与える恐れのある化学物質などを調査し、環境負荷低減の点で、より優れた調達部材を優先的に採用しています。
アドバンテストにおける禁止・制限物質規定
アドバンテストは、IEC62474* に基づいて、先に述べたアドバンテスト製品含有化学物質の運用基準を定め、使用部品における含有調査および採用の可否に使用しています。
-
*IEC62474:電気・電子業界及びその製品に関するマテリアルデクラレーション(関連URL:http://std.iec.ch/iec62474)
取引先の有害物質含有調査について
近年RoHS指令をはじめとした、電気・電子関連の法令の追加・改訂が行われています。アドバンテストは、IEC62474の改訂に従い2023年2月6日に有害物質含有調査票の改訂を実施し、すべての取引先に通知しました。
各国環境規制への対応
アドバンテストグループは、環境法令および規制を遵守し、有害物質排除や省エネルギー、省資源などの環境保護に努力しています。 特に有害物質排除に関しては、2003年秋よりサプライヤーと協力して、含有が制限される有害物質の調査と排除に取り組んでいます。 欧州RoHS指令*についても、同指令に沿った対応を取っています。
海外との連携体制
アドバンテストでは、2020年の中頃より、研究開発部門がある(日本、ドイツ、アメリカ)
でグローバルチームを組織し、製品における環境・品質・安全等に関わる法規制遵守に取り組んでいく体制を構築しました。
現在は、グローバル会議を定期開催し、アドバンテストグループとしての認識の統一を図っています。それに基づき、各販社で製品群に合わせた、現地エンジニアへの環境法令教育資料の作成や実施を行うべく進めています。
製品含有化学物質について
欧州RoHS指令について
当社グループの製品中、テスタやハンドラなどの大型装置は、当該指令中の大型据付工業用ツール (LSSIT) に分類され、RoHS指令の対象外に当たると判断しています。しかしながら、これらの製品についても、環境保護の観点から、従来より進めてきた有害物質の排除をさらに推進しています。
-
*欧州RoHS指令は、欧州の「電気電子機器中の特定の危険物質の使用制限に関する指令 (2011/65/EU)」 およびその修正指令((EU) 2015/863)を指すもので、規制適用除外用途を除き、最大許容量を超える、以下の物質(当社製品においては、2021/7/22より10物質)を製品に含有することを禁止する指令です。
-
鉛
-
六価クロム
-
水銀
-
ポリ臭化ビフェニル(PBB)
-
カドミウム
-
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
-
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)
-
フタル酸ジブチル(DBP)
-
フタル酸ブチルベンジル(BBP)
-
フタル酸ジイソブチル(DIBP)
中国RoHSについて
中国RoHSは、初期のEU_RoHSと同じ6物質を含有している製品の中国国内における販売の際、①有害物質を含有しているかどうかの識別表示(製品)②環境保護使用期限の表示(製品)③有害物質の種類、部位、含有量の記述(マニュアル)④包装材料の表示(包装材)⑤生産年月の表示、などを定めたものです。
アドバンテストにおいては、中国向け製品において、確実にこれらが表示できる体制を構築しています。
REACH規則について
REACH規則とは、欧州連合(EU)における化学物質の登録・評価・認可および制限に関する規則です。化学物質ごとEU内での製造・輸入の総量が年間1トン以上の事業者は、欧州化学品庁に当該物質を登録・書類提出・報告等々の義務が課されます。当社製品のような「成形品」の場合は、前記のような登録等の義務はありませんが、要求があった際には、含有している認可対象候補物質(SVHC)などを知らせる必要があります。
アドバンテストの製品には以下のSVHCを含有している可能性があります。
-
五酸化二ヒ素
-
三酸化二ヒ素
-
ホウ酸
-
六価クロム化合物
-
四ホウ酸二ナトリウム無水物
-
クロム酸鉛
-
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)
-
フタル酸ジブチル(DBP)
-
フタル酸ブチルベンジル(BBP)
-
フタル酸ジイソブチル(DIBP)
-
1,2-ベンゼンジカルボン酸、炭素数7~11の分岐および直鎖ジアルキルエステル類(DHNUP)
-
ジルコニアアルミノ珪酸塩,耐火セラミック繊維
-
リン酸トリス (2-クロロエチル)(TCEP)
-
4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール
-
フタル酸ビス(2-メトキシエチル)
-
塩基性亜硫酸鉛
-
1,2-ジメトキシエタン;エチレングリコールジメチルエーテル(EGDME)
-
四塩基性硫酸鉛
-
三酸化ニホウ素
-
N,N-ジメチルホルムアミド
-
フタル酸ジイソペンチル(DIPP)
-
フタル酸n-ペンチル-イソペンチル
-
チタン酸鉛、三酸化チタン鉛
-
チタン酸ジルコン酸鉛
-
オキシ硫酸鉛
-
フタル酸ジオキソ三鉛
-
フタル酸ジ-n-ヘキシル(DnHP)
-
メチルヘキサヒドロ無水フタル酸
-
カドミウム
-
酸化カドミウム
-
フタル酸ジペンチル(DPP)
-
4-ノニルフェノール、分岐及び直鎖のエトキシレート
-
硫化カドミウム
-
リン酸トリキシレニル
-
イミダゾリジン-2-チオン、2-イミダゾリン-2-チオール
-
10-エチル-4,4-ジオクチル-7-オキソ-8-オキサ-3,5-ジチア-4-スタンナテトラデカン酸2-エチルヘキシル(DOTE)
-
2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール(UV-328)
-
1,2-ベンゼンジカルボン酸、ジ-C6~10-アルキルエステルまたはデシル・ヘキシル・オクチルジエステルとの混合物
-
ベンゾ[def]クリセン
-
フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)
-
4,4'-イソプロピリデンジフェノール(BPA)
-
1,6,7,8,9,14,15,16,17,17,18,18-ドデカクロロペンタシクロ[12.2.1.16,9.02,13.05,10]オクタデカ-7,15-ジエン("デクロランプラス"™)
-
オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)
-
デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)
-
ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)
-
水素化ターフェニル
-
鉛
-
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン
-
直鎖及び分岐鎖の4-ノニルフェノール(4-NP)を0.1wt%以上含有する亜リン酸トリス(4-ノニルフェニル、直鎖及び分岐鎖)
-
七酸化二ナトリウム四ホウ素水和物
-
ジオクチルスズジラウレート、スタナン、ジオクチル-、ビス(ココアシルオキシ)誘導体、およびC12が脂肪アシルオキシ部分の優勢な炭素数である他のスタナン、ジオクチル-、ビス(脂肪アシルオキシ)誘導体のいずれか
-
4,4'-(1-メチルプロピリデン)ビスフェノール
-
中鎖塩素化パラフィン(MCCP)
-
4-ノニルフェノール(分岐および直鎖)
-
6,6'-ジ-tert-ブチル-2,2'-メチレンジ-p-クレゾール
カリフォルニア州法「過塩素酸塩の取り扱いに関する規制」について
カリフォルニア州で過塩素酸塩(含有量が6ppb以上)を製造、流通、販売、使用、廃棄される場合、およびカリフォルニア州に輸出される場合は、個装箱、輸送箱(出荷梱包用)などに下記表示が義務化されています。対象になるものは、そのほとんどがリチウム(イオン)電池であり、当社の製品には表示されています。
表示文章
Perchlorate Material - special handling may
apply, See www.dtsc.ca.gov/hazardouswaste/perchlorate.
以下のアドバンテスト製品には過塩素酸塩を含有している可能性があります。
カリフォルニア州法「プロポジション65」について
プロポジション65は、がん、先天異常、または生殖障害を引き起こすことが知られている化学物質への重大な暴露からカリフォルニア州市民を保護することを目的としている法律です。
プロポジション65は、カリフォルニア州で事業を行っている企業や人に対して、プロポジション65のリストに収載されている化学物質を知った上で、かつ意図的にカリフォルニア州市民に暴露させる前に、明確で妥当な警告を行うことを義務付けています。
アドバンテスト製品には、プロポジション65のリストに収載されている化学物質の中で含有している物質もありますが、アドバンテストが推奨している使用条件において、皮膚との接触、体内への摂取、および吸入などの経路によって人に暴露することはありません。
したがって、アドバンテスト製品に、プロポジション65の化学物質が含有していることを示す警告ラベルは必要ないと判断しています。
アドバンテストはお客さまの要求に応じて、プロポジション65のリストに収載された化学物質の中でアドバンテスト製品に含有する化学物質の情報を提供することが可能です。
また、破壊や粉砕などアドバンテストが推奨している使用条件以外でアドバンテスト製品を扱った場合は、プロポジション65のリストに収載された化学物質への暴露リスクを生じる可能性もありますので、暴露リスクを緩和、軽減させるために、防塵マスク、防護手袋、換気などの対策を行うことを推奨します。