決算レビュー

当期(2023年4月1日~2024年3月31日)の状況

経営成績の概況

2024年4月26日発表(単位: 億円)
  2023年3月期 2024年3月期 前年度比
売上高 5,602 4,865 △13.2%
営業利益 1,677 816 △51.3%
税引前利益 1,713 782 △54.4%
当期利益 1,304 623 △52.2%

当連結会計年度における世界経済は、コロナ後の正常化が進んだものの、欧米を中心とした金融引き締め政策や中国経済の成長鈍化などから、全体としては減速感が強まりました。

このような世界経済情勢のもと、スマートフォンやパソコン、テレビなど主要な民生機器の需要は停滞し、データセンタへの投資も減速したことから、それらに関連する半導体の需要が落ち込みました。一方で半導体市場においては、生成AI関連などの一部の半導体では需要の増加が見られ、半導体売上も下半期には増加に転じましたが、年間を通しては前年度と同水準となりました。

当社の半導体試験装置ビジネスにおいては、過去3年度にわたり顧客の旺盛な投資が行われてきました。しかし半導体市況が弱含んだことで、多くの顧客サプライチェーンにおける設備の余剰が発生し、当社製品の需要は前年度に比べて大きく落ち込みました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は4,865億円(前年度比13.2%減)となりました。利益面では、減収のほか、製品ミックスの変化および原材料費の上昇に加え、のれんの一部減損損失約90億円を第4四半期に計上したことなどから、営業利益は816億円(同51.3%減)となりました。為替差損による金融費用の増加に伴い税引前利益は782億円(同54.4%減)、将来一定期間に日本国内において実現する可能性が高い繰延税金資産約38億円を第4四半期に計上した結果、当期利益は623億円(同52.2%減)となりました。当連結会計年度の平均為替レートは米ドルが143円(前年度134円)、ユーロが155円(同140円)、海外売上比率は95.9%(同96.3%)でした。

2021年5月に公表した第2期中期経営計画(2021~2023年度の3か年計画)は、半導体テスト関連市場が当初の計画よりも想定以上に規模が拡大したことを背景に、2022年7月に経営指標を上方修正いたしました。しかしながら、当該計画期間の後半から上述した半導体市況が弱含んだことにより、当連結会計年度の主要な民生品向けの半導体試験装置需要は前年度と比べて大きく落ち込みました。その結果、当初設定した第2期中期経営計画の経営指標についてはすべて達成することができましたが、改定後の目標においては、売上高に関しては達成することができた一方で利益を含むその他の指標については未達となりました。

半導体・部品テストシステム事業部門

(単位: 億円)
  2023年3月期 2024年3月期 前年度比
売上高 4,043 3,315 △18.0%
セグメント利益(△損失) 1,632 919 △43.7%

当部門では、SoC半導体用試験装置は自動車や産業機器関連などの成熟半導体に向けた売上は堅調でした。しかしながらスマートフォン市況の停滞やサーバー投資の減速から、それらに関連する高性能な半導体に向けた売上が落ち込みました。メモリ半導体用試験装置の売上については、高性能DRAMに向けた旺盛な試験装置需要や中国メモリ企業向け売上の伸長により前年度を上回りました。利益面においては、減収に加え、製品ミックスの変化や原材料費の上昇もあり、当セグメントの収益性が低下しました。

メカトロニクス関連事業部門

(単位: 億円)
  2023年3月期 2024年3月期 前年度比
売上高 599 527 △12.0%
セグメント利益(△損失) 150 92 △38.7%

当部門では、半導体試験装置の需要減少を背景に、関連するデバイス・インタフェース製品、テスト・ハンドラの売上が減少しました。

サービス他部門

(単位: 億円)
  2023年3月期 2024年3月期 前年度比
売上高 961 1,023 6.4%
セグメント利益(△損失) 76 △28

当部門では、当社製品の設置台数の増加に伴い保守サービスの売上は伸長しました。しかしながら、システムレベルテスト事業においては、中長期的な事業成長を見越した生産体制強化の取り組みによるコストが増加しました。加えて、テストソケットに関連するEssai, Inc.のビジネスにおいて大口顧客向け売上予想が落ち込み、想定していた将来キャッシュ・フローの見通しが悪化したことで、のれんの一部減損損失約90億円を計上しました。これらの結果、当セグメントの利益額は前年度を大幅に下回りました。なお当連結会計年度のセグメント損失は、取引先との係争に関する受取和解金等による利益約32億円を含んでいます。

当期の財政状態の概況

当連結会計年度末の資産合計は、棚卸資産が353億円、現金および現金同等物が212億円、有形固定資産が148億円それぞれ増加したことなどにより、前年度末比710億円増加の6,712億円となりました。負債合計は、借入金が418億円増加したものの、未払法人所得税が204億円、営業債務およびその他の債務が124億円それぞれ減少したことなどにより、前年度末比85億円増加の2,401億円となりました。また、資本合計は4,312億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前年度末比2.8ポイント増加の64.2%となりました。