サステナビリティ推進担当役員メッセージ

社会の「安全・安心・心地よい」を目指して

当社は、「先端技術を先端で支える」を経営理念として、進化の激しい先端エレクトロニクス技術の開発を当社の測定技術で支えることによって、社会の発展に一貫して貢献してきました。そして、今後も当社事業を取り巻くさまざまな産業の発展や、よりサステナブルな未来社会の実現には、半導体は必要不可欠な存在であり、より性能に優れた半導体の実現と普及に貢献していくことが、今後とも人々の「安全・安心・心地よい」社会への貢献と自社の持続的な成長実現の双方に直接的に資する行為であると考えています。

本年6月25日に発表した「グランドデザインの改定」と「第3期中期経営計画(MTP3)」で挙げた4つの戦略において、「コア市場の成長率を上回る成長実現」「近縁市場・新規事業領域への展開」「オペレーショナル・エクセレンスへの取り組みを推進」など、顧客課題の解決を軸とする3つの重点戦略に加え、4つ目に「サステナビリティの取り組み強化」を設けました。サステナブルな社会および当社の成長の実現につながる各種取り組みを強化し、4つの戦略を一体的に推進することを次期中期経営計画の戦略の柱としました。
この4つ目の「サステナビリティの取り組み強化」の実現に際しては、当社を取り巻く各ステークホルダーを「株主および投資家」「従業員」「顧客」「サプライヤー」「パートナー」そして「地域社会」と「我々を取り巻く全ての環境」と捉え、すべてのステークホルダーの期待や要請を、当社の事業活動に適切に反映していくことが肝心です。企業の基本は、社会の要請に適切に応える活動にあり、それが企業の社会的責任であることを改めて私自身も肝に銘じ、当社の存在意義や提供価値を経済的にも社会的にもバランスよく、かつ多面的に拡大することを目指したいと思います。また、具体的な活動に際し、必要となる要素を3点にまとめますと、「グローバルな社会課題の解決に取り組むこと」「課題解決において各々のステークホルダーからの要請を理解し対話を通じ一緒に取り組むこと」「その取り組みは透明性を高め適切な情報開示に努めること」となります。これら3要素をすべてグローバル基準で行っていくことが重要です。

「グランドデザイン」の発表の中で、私たちが置かれている環境について「Era of Complexity」と表現しました。その内容は、今日、気候変動による自然界のバランス異常、将来的な世界の人口増加や経済発展に伴うエネルギー不足、世界的な労働力不足や、特定地域で顕在化する政治的、軍事的、社会的な緊張の高まりと世界経済への影響など、世界を取り巻く環境は重大な変化に直面しており、資源・エネルギーの適切な調達、人的資本の充足、サプライチェーンの再配備のような企業にとっての課題が、劇的に複雑化しているというものです。だからこそ、今まで以上にもっともっと大きな視野に立ってグローバルで起きている社会課題に目を向け、あらゆるステークホルダーとの対話を重視し、コーポレートガバナンスをさらに強固に築き上げる努力をこれからも続けていかなければなりません。

最後に、「イノベーション」という言葉から、私たちのサステナブル活動の意義について触れたいと思います。イノベーションは、企業活動において最も大事な使命と考えられています。しかし、イノベーションは私たち組織の中だけではなく、組織の外にもたらす変化こそがイノベーションであり、科学や技術そのものではなく企業が事業活動を通じて行うことのできる外の世界への貢献であり、価値提供なのだと思います。ここでは、経営者のみでなく従業員一人ひとりもその主役そのものです。だからこそ、私たちは、私たち組織の中にいるものだけではなく、私たち組織の外にあるさまざまなステークホルダーへの価値提供を考え、それぞれのステークホルダーとともに、上辺やまやかしでない真のサステナブルな社会の実現に全力で取り組んでいく必要があると考えています。

今後とも一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

2024年10月
経営執行役員 CFO & CSO
経営戦略本部長
サステナビリティ推進担当
三橋 靖夫

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