アドバンテストグループは、製品や技術が国際社会の安全性を脅かす国家やテロリストの手にわたらないよう、安全保障輸出管理に関する法令遵守、自主管理について細心の注意を払っています。万一、不正輸出がなされた場合、法に基づき一定期間の輸出禁止という制裁措置が課されるなど、企業の社会的責任を問われ大ダメージを受けかねません。アドバンテストではグローバルで法令遵守することを輸出管理の基本方針とし、さらに各国それぞれの法令に基づいて輸出管理を行うよう内部規定を定めています。
日本製品の多くには高度な技術が使用されていることから、国際的に規制対象となる国や組織への流出がないよう対策が求められています。アドバンテストグループでは、各国の輸出管理担当が最新の法および法に基づく命令等の情報を収集し、全社システムへの適用でミスオペレーションを防ぐこと、現場教育や教育訓練プログラムに盛り込むなど、業務の適正な実施を推進しています。
法令に則った輸出管理体制
アドバンテストでは輸出管理の最高責任者として代表取締役兼経営執行役員社長がその任に就き、経営トップのリーダーシップのもと、管理体制を構築・運営しています。また経営判断を迅速に全従業員に伝達すべく、本社を有する日本では管理本部長(執行役員)が、海外現地法人では各法人のトップが、それぞれ輸出管理責任者として管轄し、各国・地域ごとの法令に基づく業務運用をすることで、当社の輸出管理基本方針・規定に準じた社内体制を構築しています。
本社の輸出管理部門では、輸出管理基本方針・輸出管理規定に基づき、グループ各社で輸出手続きが適正に実施されていることを定期的に監査し、輸出管理最高責任者(Group CEO)・各国の輸出管理責任者へ報告しています。
米中貿易摩擦の場合
米中貿易摩擦に関する対策では、図中のワーキンググループが対応しています。米中貿易摩擦は国際法上の問題ではあるものの、米国の輸出管理規制が日本にも域外適用されています。米国が問題視するような法令違反が発生しないよう、国内外関係者でワーキンググループを設定し、隔週開催の会議体にて情報の共有を行っています。
具体的には以下の運用としています。
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特定顧客との取引の場合
米国輸出管理法の規制強化を考慮し、規制対象品目の該非について米国原産品目含有率と直接製品規制を確認する -
当社製品の用途に懸念がある場合
従来の用途確認に加え、更なる規制用途に該当しない旨の確約書を入手する -
新たな法規制の導入や法令改正により、顧客情報に懸念が生じた場合
新規顧客登録の場合、当該企業の存在・事業内容が確認できる公的な情報をもって取引可否を判断する。また既存取引先管理では法規制導入や法令改正によって規制に新たに抵触しうる企業に対し、発効内容への非該当の確認書を入手する
輸出管理教育
アドバンテストでは、大多数の従業員がグローバルに活動しているため、輸出管理に関する概略についてe-learningを実施しています。輸出管理に関する考え方や必要な手続きについてのトレーニングは毎年、国内外の全従業員を対象に実施されています。内容は「ビジネスを取り巻く環境」「安全保障のための輸出管理とは」「輸出管理の対象とは」「当社の輸出管理方針」「輸出時の注意点」「技術の輸出(役務提供)」「EARについて」です。今後も、ルールの反復学習や、重大なトピックスを取り上げるなど、より実践的なコンテンツを開発・実施していきます。
国際情勢に関連したリスク対策
米国の対中姿勢やロシア・ウクライナ情勢など、企業を取り巻く環境は刻々と変化しており、リスクも複雑化・多様化しています。アドバンテストでは国際情勢の変化や法規制等改正の情報を得ること、規制当局との直接対話や産業界からの意見具申に際しての自社要望の反映などを目的に、安全保障貿易情報センターの賛助会員となり活動しています。また国際半導体製造装置材料協会(通称:SEMI)のワーキンググループに参画し、法規制等改正時の影響分析や業界基準の業務対応について多角的な情報収集を行っています。加えて、事業に不利な影響を与え得る法規制の導入や改正が実施された場合、必要に応じて弁護士等の外部専門家へ相談するなどの体制をとっています。