事業を通じた価値提供のための取り組み

当社は、お客様に満足いただける製品・サービスを提供するべく、高い製品品質を保つための取り組みを続けるとともに、イノベーションの創出に取り組んでいます。また、サプライヤーとの協力的な関係はすべての事業の基盤であり、サプライヤーとともに発展を目指す取引関係を構築しています。

製品安全・品質への対応

製品の企画から、開発を完了して製造部門に移管するまでのプロセスでは、マーケティング、営業、品質保証、製造、サービスといった様々な部門との連携が必要です。ここでは、お客さまの満足度向上のために、アドバンテストが製品の安全性と品質向上にどのように向き合っているかについて説明します。

研究開発から製造までのプロセス
企画段階ではマーケティングや顧客担当営業からの情報やアドバイスを参考にするほか、製品認定は品質保証部門、生産立ち上げは製造部門、設置およびサポートはサービス部門と協力して進めます。設計では使用部品の調達性、量産段階での生産性、製品販売後のメンテナンス性など、さまざまな側面を考慮するため幅広い部門の意見を集めます。

製品の安全・品質の確保への取り組み

アドバンテストは、製品の「安全性」を、より高度なものとすることを目的として、1995年5月に「アドバンテスト製品安全憲章」を制定しました。

上記目的を達成するため、「製品安全推進規定」を制定し、当社製品の安全性向上を推進する組織として全社委員会の設置を定めています。同委員会は、1995年5月から現在まで製品の安全性向上のための活動に取り組んでいます。

2023年度は、主力13製品に関して、社外の専門機関に安全性・耐久性検査を依頼しました。その結果、安全仕様の改修や改善が必要と指摘された案件はありませんでした。

アドバンテストでは製品をワールドワイドで販売する上で必要となるEMC法規制遵守のために10m法大型電波暗室(EMCセンタ)を運用しています。
特に、欧州(CEマーキング)や韓国(KCマーク)では厳格なEMC法規制があります。
またアメリカでも製品運用でノイズによる周辺環境悪化に伴う訴訟リスクが大きく、また顧客要求もあることから、米国EMC法規制(FCC)に沿った対応を行っています。
EMCセンタでは、試験所の運用を規定した国際規格であるISO17025を取得し、EMCセンタ職員についてもiNARTE(The International Association for Radio, Telecommunications and Electromagnetics)のEMCエンジニア資格保有者により運営されており、社内で国際的に認められるEMC認証試験を行うことができます。
またEMCセンタ施設は製品を搭載するためのターンテーブル直径8m、耐荷重10t電源容量トータル148kVAを供給可能な3相電源、冷却水を供給できる設備を有し国内でも数少ない大型の産業機器の試験が可能な環境を整えています。

EMC法規制は出荷国毎に最新の法規制動向を注視する必要があります。アドバンテストではKEC(一般社団法人KEC関西電子工業振興センター)でのワーキング活動に参加して情報を収集しています。また、SEAJ(一般社団法人日本半導体製造装置協会)を通じて、半導体製造装置業界にEMC法規制情報の提供を行っています。

アドバンテストグループ品質方針

発想の原点は『お客様の満足度』

  1. (1)
    製品・サービスのライフサイクルを通じて品質を維持し、バリューチェーン全体でお客さまのご要求を満たします。
  2. (2)
    法令・規制を遵守するとともに、品質マネジメントシステムの継続的改善によりビジネスプロセスを最適化することで、企業の社会的責任を果たし、ステークホルダーの満足度向上に努めます。
  3. (3)
    お客さまにご満足いただける技術・製品・サービスをタイムリーに提供します。

品質管理体制

アドバンテストは、「発想の原点は『お客様の満足度』」を品質方針として、国際規格である ISO9001 に適合した品質マネジメントシステムを全社的に構築し、運用しています。

トップマネジメントによる統括のもと、品質保証本部長を責任者として全社的な枠組みで推進組織を整備し、システムの維持・改善に努め、『お客様の満足度向上』を目指しています。また、独立した内部監査の仕組みを構築し、定期的に内部監査を実施することによって、継続的にシステムの維持・改善を図っています。

さらに、グローバルな品質マネジメントシステムを強化するため、グループ全体(世界8カ国、21サイト)においてシステムの統一を進め、2018年4月25日付けで「ISO9001グローバル統一認証」を取得しました。2023年度では、グループ全体で世界8カ国、26サイトに拡大しています。

本品質管理体制により2023年度の製品リコール数は0でした。
今後も、この枠組みを維持しながら、品質管理体制の強化、発展を目指していきます。

過去5年間の製品リコール数

左右にスワイプ可能です
年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
リコール数 0 0 0 0 0
ISO9001グローバル体系図
トップマネジメントの下に中央統括機能を置き、世界8カ国、21サイトにてPDCAサイクルを回すことで、全体として1つの認証を維持しています。

設計品質の向上に向けた「デザイン・レビュー制度」

アドバンテストの製品には、常に高機能・高性能・高品質が要求され、これを実現するための回路は日増しに大規模化、複雑化しています。その一方で開発工期の短縮も求められます。お客さまの要求に応えるには、設計の上流段階での品質のつくり込みと早期の問題抽出が最重要と考え、実現する仕組みとして、2008年より新たなデザイン・レビュー制度を導入しました。

  • 製品開発開始時に、プロジェクト・リーダーがデザイン・レビューの実施計画を立案し、確実にデザイン・レビューを行う仕組みに変更。
  • 指摘事項を「見える化」し、担当者やプロジェクト・リーダーに加えて品質保証部門も残件を監視してフォローアップ漏れが防止できる仕組みに変更。
  • 社内の有識者を専門分野ごとに組織化し、関連したデザイン・レビューには有識者が参加する「デザイン・レビュー・マイスター制度」を導入。これにより、デザイン・レビューでの検出率を高めるとともに、技術継承や教育効果も得られる運用を推進。

活動の結果、設計段階での問題抽出率の向上により後戻りが減少し、開発遅延を最小限に抑えるなど成果を挙げています。新しいデザイン・レビューは、設計品質向上と開発工期短縮の成果を挙げた一方で、設計者本人が検出すべき問題が、デザイン・レビューや後工程に流出してしまうという課題も散見されるようになりました。

当社では、これらの流出した問題の分析とフィードバックを行い、仕組みを改善していますが、今後はデザイン・レビュー前の事前確認の徹底を通じて、より高い設計品質を実現するための設計プロセスを構築していく計画です。

研究開発プロセスとデザイン・レビュー
先端技術への挑戦という性質上、研究開発プロセスは順調に進まず前の工程に戻ることもあります。その低減のため、開発計画から試作までの間の重要なステップで都度デザイン・レビューを実施しています。レビューは仕様、回路/ブロック図、検証方法など多岐にわたり、開発の上流段階から品質を作りこんでいます

部品品質向上活動(SQE活動)

当社グループでは、「製品の品質を支える部品、その一点一点が高い品質であることが必須」という考えから、サプライヤーにご協力いただき、部品採用段階から SQE (Supplier Quality Engineering) 活動を展開しています。SQE活動とは、専門家チームによる部品品質向上を目指す活動です。当社の製品には、航空機(20万~300万点)に匹敵するほどの部品が使用されているため、部品品質を確保する活動が極めて重要となります。

SQE活動のコンセプトは、以下の3つです。

  • よい部品の選定:複数の同一性能の部品について、社内で良品解析や評価等を行い、よりよい品質の部品を選定する。
  • PDCAによる品質改善:部品の設計段階から製造段階にいたるまでPDCAサイクルによって、量産前に改善を実施、それ以降も継続して活動する。
  • 裕度を確保した設計の推進:部品の規格よりも、裕度をもった設計を基準化し推進する。

製品開発段階からSQE活動を展開することにより、製造工程における部品起因のトラブル、部品問題の市場流出リスクを低減し、ロスの大幅な低減に貢献しています。この成果は当社製品のエンドユーザ工程内での安定稼働という形でも表れ、高い安心感にもつながってきます。
また、部品起因の不具合発生を低減することで、交換され棄却される部品が減り、環境負荷低減にも寄与しています。

アベイラビリティ

アドバンテストは、「故障しにくく、故障しても直ぐに復旧」できるアベイラビリティの高い製品をお届けすることで、お客さまの生産性向上に貢献します。アベイラビリティとは、製品の信頼度を表す指標の一つで、「ある期間に装置が稼働可能な時間の割合」です。当社グループでは、MTBF*1向上(装置をある時間使用しても故障しないこと)、MTTR*2低減(故障した時に修復しやすいこと)に取り組むことで、高いアベイラビリティを提供し、お客さまの満足度の向上を図っています。

  • *1
    MTBF: Mean Time Between Failure 故障から次の故障までの平均的な間隔
  • *2
    MTTR: Mean Time To Repair 修理に費やされる平均的な時間

ソフトウェアの品質向上に向けた取り組み

アドバンテストは、ソフトウェアの品質向上に継続的に取り組んでいます。テスト・システムやハンドラなどの装置を制御するためのソフトウェアに対しては、品質保証部門が開発工程計画を確認後、開発と並行して成果物である仕様書をリアルタイムに審査し、開発上流工程の段階から品質の確保に努めています。審査は開発終了までに実施され、品質基準に達しているかを確認後、出荷しています。

当社は、ソフトウェアの品質を向上するためにAutomotive SPICE*1の開発プロセスへの組み込みを推進しています。2021年には、V93000のシステム・ソフトウェアSmarTestに対し、Automotive SPICE Level1認証を取得しました。また、T2000のシステム・ソフトウェアに対してもAutomotive SPICE Level2認証取得に取り組んでいます。当社はこの活動を通じて、よりよい製品のタイムリーなデリバリを実現しています。

  • *1
    自動車業界標準のソフトウェア開発プロセス・モデル

顧客満足度向上のための取り組み

アドバンテストでは、市場の変化、顧客のニーズを捉えながら製品の企画・製造を行い、顧客満足度の向上を目指しています。製品開発プロセスを通して、製造部門や品質保証部門だけではなく、営業部門やサービス部門、マーケティング部門などお客さまと直接関わる部署も連携し、適切にデザイン・レビューを行いながら、お客さまにご満足いただける製品づくりに励んでいます。今後も、お客様が変化し続ける市場に対応し、次世代テクノロジーの開発競争に対応できるよう、積極的かつスピーディーに製品・サービスを提供し続けていきます。

お客様の満足度(CS)向上に関する基本方針

アドバンテストの発想の原点は「お客様の満足度向上」です。
  1. (1)
    製品・サービスのライフサイクルを通じて品質を維持し、バリューチェーン全体でお客さまのご要求を満たします。
  2. (2)
    法令・規制を遵守するとともに、品質マネジメントシステムの継続的改善によりビジネスプロセスを最適化することで、企業の社会的責任を果たし、ステークホルダーの満足度向上に努めます。
  3. (3)
    お客さまにご満足いただける技術・製品・サービスをタイムリーに提供します。

アドバンテストグループでは上記を全社共通方針に掲げ、性能のみならず環境、安全にも配慮した高品質な製品の提供に努めています。設計・製造・販売・サービスなど、あらゆる分野において、常にお客さまの満足度向上を目指し、これからもお客さまの視点に立ちながら、さらなる品質保証、サービス、サポートの提供をグローバルに展開していきます。

CS向上に直結するセールス/マーケティング体制

技術の進化を続ける半導体市場において、顧客は環境的課題や社会的課題を解決するためにチャレンジを続けています。顧客がチャレンジを続ける中で、積極的かつスピーディーに包括的なソリューションを提供し、顧客価値を高めることが重要であるとアドバンテストは考えます。顧客価値向上への取り組みの一環として、顧客のニーズに応えるための体制づくりを進めてきました。アドバンテストでは、2016年12月に製品戦略や新規製品企画を担う事業部門のマーケティング部門を、2017年6月には半導体テストシステムのサポートを担うシステムソリューション部門を営業本部に統合しました。マーケティング部門を営業本部に統合したことにより、販売部門が顧客とのコミュニケーションを通じて収集したニーズを、タイムリーにマーケティング部門にフィードバックすることが可能になり、より効率的に製品を開発し、顧客に提供することが可能になりました。また、システムソリューション部門を営業本部に統合したことによって、よりスピーディーに顧客への技術サポートを提供できるようになりました。

さらに2020年3月には、営業本部内の販売部門とマーケティング部門を統合し、顧客のニーズをよりスピーディーに、的確に製品開発に反映できる体制を整えました。
市場や顧客のニーズの変化に対応するための施策を通じて、お客さまの満足度のさらなる向上を目指していきます。

セールス/マーケティングにおけるCS向上活動

お客さまの技術革新を常にサポートするためには、テスト・ソリューションを提供するだけでなく、当社のお客さまに技術・製品や市場に関する最新情報を発信し続けることが重要です。COVID-19の感染拡大の影響により、従来対面で実施していた展示会や顧客イベントをオンライン形式で行っておりましたが、2022年より感染拡大防止に取り組みながら、対面式のイベントを再開しています。2023年5月には「VOICE - Advantest Developer Conference」を米国カリフォルニア州サンタクララで開催しました。VOICEは、アドバンテストと有志のお客様からなる委員会によって運営されている、当社製品に関係するユーザーや戦略的パートナーが集い、共に成長を目指す国際的なコミュニティーであり、今年で開催15周年を迎えました。会議では、半導体試験の効率性や生産性についての討議や、最新の技術動向やアプリケーションについて学ぶなど、参加者同士が相互に洞察を深め合い、長期的な関係を築く場にもなっています。今後もお客さまのニーズをくみ取り、コミュニケーションを深める活動をグローバルに展開し、CS向上に向けて取り組んでいきます。

カスタマサポートの推進

アドバンテストは、グローバルな視点によるサービスビジネスの再構築を目指し、カスタマサポートに関する基本方針を定めています。
基本方針の概略は、以下のとおりです。

カスタマサポートの基本方針

  • お客様のデバイス測定を最大限に効率化するため、トータルソリューションによるサポートパッケージを提案します。
  • お客様のビジネスモデルに合わせて、開発から量産環境まで一貫したサービスサポートを提案します。
  • お客様のご要望にお応えできる、トータルソリューションを実現するサービスサポートパッケージを提案します。
  • つねにお客様視点に立ち、ソリューションの提供をグローバルな体制で展開します。
  • 効率性のみならず、環境、安全にも配慮した高品質なサービスサポートを提供します。
  • 高付加価値なプロフェッショナルサービスを提供します。
  • フィールドサービスにおける安全作業基準を遵守し、作業安全を徹底させ、継続的に事故ゼロを目指します。

グローバル視点でのカスタマサポートの強化

当社は、お客さまから寄せられる様々なカスタマサポートのご依頼やお問い合わせにお応えできるグローバルな体制を構築しています。各国のカスタマコンタクトセンタを通じて、電話やメールにより、日常的なお問い合わせにお応えするとともに、フィールドサービスエンジニアによる技術サポートやオンサイトサポートなど一次サポートを提供しています。

また、カスタマサポートの内容や難易度に適切に対応できるよう、製品開発拠点には二次サポートを行うグローバルサポートエキスパートチームを配置し、高品質なサービスが提供できる体制を通じて、CS向上とお客様との信頼関係構築に取り組んでいます。

さらに、世界中に展開するお客さまの開発拠点から量産工場までカバーするグローバルなサプライチェーンもカスタマサポートの要と位置付け、海外・国内の各拠点における保守用機材の配備や使用状況をモニタすることで、お客さまのご要望に適切にお応えできる体制を提供しています。

当社は、カスタマサポートを支えるフィールドサービスエンジニアの技術スキルの向上やサポート品質を高めるために、海外グループ会社と二次サポート部門の間で、エンジニアの交換プログラムを継続的に実施しています。本プログラムは、エンジニアの技術力、異文化対応力、コミュニケーション力、および語学力の向上を目的として、2~3年の長期に渡り実施している人財育成プログラムです。

また、お客さまの量産環境における生産性改善に関わる課題に対しては、お客さまのご要望に基づいてエキスパートエンジニアによるコンサルティングやソリューションを提案したり、デバイス測定に関しても、お客さまへのトレーニングや提案サービスの提供により、お客様との協創を通じて、顧客価値向上を目指しています。

グローバルサポートの体制
1次サポートとして、各地域のフィールドサービス部門・コンタクトセンタがオンサイトリペア、機材発送、リモートサポート、消耗パーツ販売を行います。より高度なテクニカルサポートが必要な場合は、2次サポートとして関連部門が応援出張修理を行います。

リサイクル・リマーケティングビジネスの強化

2022年1月に株式会社アドバンテストファイナンスを株式会社アドバンテスト プリオウンド ソリューションズへ社名変更しました。それと共に、リース/レンタル・ビジネスおよび中古販売の会社から、フィールドサービス(FS)本部と連携して、市場出荷後の製品サービスも含めた事業を展開する会社へと生まれ変わりました。これにより、新品の長納期化対応だけでなく、買取/再販売ビジネスを、サービスを含めたトータルソリューションとしてご提案/ご提供できるようになります。また、日本で実施していたリサイクルのソリューションも今後はグローバル対応の要否も視野に入れて活動していきます。

アドバンテストは、リマーケティングビジネス*において、窓口一本化の実現と一括したサービスを提供することで、お客さまのキャパシティーマネージメントに貢献していきます。

  • *
    リマーケティングビジネス:中古品を再びマーケットに戻す(Reマーケット)ビジネス

TechInsights社の顧客満足度調査にて第1位を5年連続で獲得

アドバンテストは、お客さまのニーズを的確に把握し、高性能かつ高品質なトータル・テスト・ソリューションをタイムリーに提供することを目指しています。
日々のビジネスから得られる情報に加え、半導体の市場調査で著名なTechInsights社の顧客満足度調査に毎年参加し、お客さまのニーズの把握に努めています。

当社は、2024年の調査結果において、5年連続で半導体製造装置メーカー顧客満足度第1位を獲得しました。また、半導体製造装置(ラージサプライヤー)部門の「10 BEST Suppliers」を36年連続で受賞しました。その中で当社は「パートナーシップ」「推奨できるサプライヤー」「信頼度の高いサプライヤー」「技術的リーダーシップ」「コミットメント」「アフターサポート」「製品性能」の各項目で顧客から高い評価を獲得し、今年度もATEサプライヤーとして唯一の5つ星に認定されました。

お客さまからの評価の一部

関連ニュース

イノベーションへの取り組み

アドバンテストは、「先端技術を先端で支える」べく、半導体産業、エレクトロニクス産業、情報通信産業を支える計測技術領域において、新たな価値創造につながる基盤技術や製品の研究開発を進めています。これら研究開発活動の成果は、当社が事業の軸足を置く半導体バリューチェーンの進化に貢献しています。またそれにとどまらず、高性能かつ経済性を伴った優れた半導体の普及・社会実装拡大を通じ、最終的に「安全・安心・心地よい」社会の実現にも貢献しています。このように当社の事業活動においては、研究開発活動が当社自身の成長のみならず社会貢献を拡大していくための直接的な源泉となることから、当社は研究開発を最も重要な投資領域と位置付け、長期にわたり多額の資本を投下しています。

イノベーションに関する取り組みの要旨

当社は、半導体関連のすべての顧客に対し、価値の高い世界最先端・最高峰の半導体テスト技術を提供可能な企業であり続けたいと考えています。当社は、世界有数の半導体メーカーやIT企業を含む世界のテクノロジー・リーダーを数多く顧客としており、これら顧客の将来の成功が当社自身の成功につながります。一方で、それら顧客から寄せられる高い期待に応える製品やソリューションを生み出し続けるためには、技術的な壁をいくつも乗り越える必要があり、そのためには5~10年の時間軸を伴った長期持続的かつ大規模な研究開発マネジメントが不可欠です。当社の研究開発マネジメントは、顧客との緊密なコミュニケーションを通じ収集した今後の技術ニーズや投資時期の見通しや、半導体関連市場における将来の技術動向や需要予測等に関する市場調査に基づき策定した、中長期的なロードマップを基本に展開しています。

また、医療機器をはじめとした半導体バリューチェーン外に向けても、過去蓄積した電子あるいは光計測技術を活用した斬新な計測ソリューションの開発を行っています。

直近年度における主な基盤技術開発

  • 光計測、光電集合デバイステストシステムに用いる光半導体デバイス、光源および光集積回路の開発
  • 超高感度磁気計測に対応するセンサ技術、アルゴリズム技術および応用技術の開発
  • 半導体・部品テストシステムに用いる、ピン・エレクトロニクス、パターン・タイミング発生および、DCテストリソース等の要素技術
  • 半導体・部品テストシステムに用いる低歪デバイス、高速高周波デバイスなどの化合物半導体の開発
  • 多値伝送を含む次世代のプロトコルや光信号インタフェースのテストが可能な技術の開発
  • 超高速信号のタイミングや波形品質を多数ピン同時に調整可能なキャリブレーション手法の開発
  • 設計工程からテスト工程まで、半導体のサプライチェーン全体にわたるデータ連携および解析手法の開発

イノベーションを通じたサステナブルな社会実現に対する直接的な貢献拡大

アドバンテストでは、すべての製品に対して製品環境アセスメントを実施しています。また、脱炭素社会への貢献の観点から、消費電力効率等の環境性能向上を達成することを新製品の研究開発プロセスに組み込んでおり、サステナブルな社会の実現への貢献は事業活動と一体となっています。

多様な顧客ニーズに応じるテスト・ソリューション

V93000シリーズ

デバイスの高速化、高機能化が進む現代の半導体業界において、テスト・システムには、低テスト・コストを維持しつつ、より優れたソリューションを提供することが求められています。また、革新的なテクノロジーだけでなく、使用寿命が長く拡張性の高い、投資効率に優れたシステム・アーキテクチャも必要です。

テスト・システム「V93000」は、スケーラブルなプラットフォーム・アーキテクチャにより、低コストのIoTデバイスから、高機能の車載デバイスや高集積度のマルチコア・プロセッサなどのハイエンド・デバイスまで、広範囲のデバイスをテストできます。「シングル・スケーラブル・プラットフォーム」というコンセプトを評価いただき、V93000は先進的なIDM、ファブレス、ファウンドリー、OSAT各社に広く採用されており、新たなテスト・ソリューションを開拓し続けています。

V93000

メモリ・テスト・システム

1990年代から当社は、先端技術を開発する顧客に密着して技術サポートを継続し、30年以上、メモリ半導体の技術進化に寄り添い、メモリ・テストの豊富な経験値と確かな技術力を蓄積してきました。特にハイエンド・メモリ向けで、最適なテスト・ソリューションを業界内でいち早く市場投入していることで、当社はメモリ・テストにおいて常にデファクト・スタンダードのポジションを確立しています。

メモリ・テスト・システム
「T5230」

テスト・ハンドラ

AIモデルの生成や学習、実行に必要な高い演算能力を実現するため、サーバーなどに用いられるGPUやCPUといったAI/HPC向けデバイスには、2.5/3Dの高度なパッケージング技術が導入されています。先端パッケージを採用したデバイス内では膨大なデータ処理に伴い大量の熱が発生するため、テスト温度のコントロールは容易ではありません。アドバンテストのテスト・ハンドラは、この課題に対応することでAI/HPC市場の成長に貢献します。

ダイ・レベル・ハンドラ
「HA1200」

Advantest Cloud Solutions™ (ACS)

アドバンテストは、さらなる飛躍への価値探求のため、テスト・ソリューションの拡充や新しいテクノロジーの導入によるソリューションの拡張を進めています。その一例として、アドバンテストでは、お客さまの半導体をつくる工程で生成されたデータと、半導体テスト時のデータを統合して分析することで新たな価値を創造する、 Advantest Cloud Solutions™ (ACS)を推進しています。

ACSエコシステムは、お客さまが工程内のデータを最大限に活用したスマートな半導体プロセスを実現するお手伝いをします。ACSエコシステムは、統合されたデータ・プラットフォームをベースとする、アドバンテストおよび提携企業が提供する先進的なクラウド製品とサービスの集合体で、お客さまは最先端のテスト・ソリューションを手に入れることができます。リアルタイムの機械学習で常に最適化されたソリューションによって、半導体バリューチェーン全体の生産性を簡単かつ自動的に高めることができます。

システム・レベル・テスト・システム

アドバンテストでは、新たなテスト・ソリューションとして、最終製品の性能を保証するシステム・レベル・テストに対応した製品を開発しています。システム・レベル・テストおよびバーンイン・テストは、特に量産試験において需要が高まっています。

MPT3000EV2

蛍光検出システム

蛍光検出システムLumifinder™は腹腔鏡手術時において、あらかじめ造影剤(インドシアニングリーン)を投与した観察部位に近赤外光レーザーを照射し、蛍光強度を数値やグラフで表示することで、定量的な判断材料を提供します。蛍光強度のスペクトラム波形や、強度変化のトレンドも観察可能です。また、腹腔鏡カメラ映像信号と接続することにより、レーザーの照射位置を画像で確認しながら蛍光観察をサポートします。

Lumifinder™は、当社の約70年の歴史の中で初となる医療機器です(医療機器承認番号30500BZX00031000)。2023年から一部医療機関にて使用開始したほか、2024年4月からは日本国内の一般医療機関にもリースにて提供開始しました。なお、当面の間は日本国内でのみのご利用となります。

蛍光検出システム
Lumifinder

社外との連携

アドバンテストは、産学連携等、外部との協業によるイノベーションの推進、人財育成への取り組みを通じても、半導体テストはもちろん、半導体バリューチェーン全体への貢献を目指しています。

上記のほか、東京大学システムデザイン研究センター(d.lab)に設置された「アドバンテストD2T寄附講座」を通じ、テスト設計の専門家となりえる人材の育成とSoC(システム・オン・チップ)の設計に関する研究を支援しています。

東京大学と共に、「先端システム技術研究組合(略称ラース、以下 RaaSと表記*1)」(理事長 黒田 忠広 東京大学大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センター長 教授)において、2023年4月1日から新たな先端システム技術の研究開発への取り組みを始めています。東京大学、アドバンテスト、凸版印刷、日立製作所、ミライズテクノロジーズ、理化学研究所の6組合員で活動し、組合員が共同利用できる次世代先端半導体開発プラットフォームを研究開発します。

  • *1
    RaaS
    先端システム技術研究組合の英語名のResearch Association for Advanced Systems の頭文字を繋げて作った略語。半導体を部品(製品)としてではなく、システムの中核知識(サービス)として提供することを標榜し、サービスとしての研究(Research as a Service)の意味も込めてラースと読む。

知的財産の保護

取り組み姿勢

アドバンテストは、知的財産権に関する法令の遵守と、第三者の知的財産権の尊重を、知的財産管理の基本方針としています。

知的財産管理体制

アドバンテストは、以下の知的財産管理体制を整備し、主な開発拠点である、日本・ドイツ・米国の事業部門および、アドバンテスト研究所・経営企画部門(協力関係団体・大学等)と連携して適切な知的財産管理を遂行しています。

知的財産部は、ドイツ・米国・シンガポール・中国に配置されている知財担当者と、毎月Web会議を行い、各IP戦略委員(IP Strategic Committee)と連携し、事業計画・研究計画・経営計画と連携した知財活動を進めています。

特許報償委員会(Patent Remuneration Committee)は、日本・ドイツ・米国の特許報償委員が一堂に会して、事業貢献報償・発明賞を毎年決定しています。

IP戦略委員(IP Strategic Committee)は、日本・ドイツ・米国の各事業部門・研究所・経営企画部門から選出され、事業戦略と連動した特許出願戦略を策定します。

知的財産管理体制
知的財産部は知的財産権の戦略的取得、維持管理等および技術情報の収集を行います。知的財産部の下に、特許報償委員会とIP戦略委員が設置されています。特許報償委員会は特許報償、発明賞の審議・決定を行い、発明者の異議申立に関する決定を行います。IP戦略委員は事業戦略と連動した特許出願戦略を策定します。

経営層、事業部への情報提供

アドバンテストは、最先端の技術力を強みとしています。そのため、自社の知的財産は競争力の源泉であり、これを適切に保護・管理することは、企業存続のために重要であると考えています。近年、アドバンテストでは、自社の知的財産の保護・管理に加えて、自社/他社の知的財産の活用にも取り組んでいます。例えば、アドバンテストでは、IPランドスケープ(IP landscape)を推進し、経営層、各事業部に知財側面からの情報提供を実施しています。

知的財産に関する教育

アドバンテストは、知的財産に関する教育を毎年実施し、知的財産に対する従業員一人ひとりの意識を向上することに努めています。
2022年度は、エンジニアとして必要な知的財産に関する知識を習得するため、技術系新入社員に対し実習を含む2日間の研修を行いました。また、The Advantest Wayに定める行動基準「14. 資産保護・機密保持」を理解し適切に行動するため、国内外のグループ全従業員に対しe-learningによる知財教育を実施しました。
一方、「社会貢献活動への取り組み」の一環として、知財創造教育を小学生向けに開催しました。詳細は、「コミュニティ活動」を参照ください。

知的財産に関わる係争、訴訟の状況

2023年3月31日現在、該当する案件はありません。

責任ある調達

お取引先との協力的な関係は、すべての事業の基盤です。お取引先とのコミュニケーションを大切にしながら、関係法令に基づく公正な取引関係を維持しています。

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