アドバンテストグループは、グローバルに事業活動を行う中で影響を受けるすべての人の人権が守られなければならないことを認識しています。私たちは、「国連グローバル・コンパクト」が提唱する人権、労働、環境、腐敗防止の4分野で企業が遵守すべき普遍的原則「国連グローバル・コンパクト10原則」を支持し、参画するとともに、日本におけるローカルネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入し、国連が提唱する、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野で企業が遵守すべき普遍的原則「国連グローバル・コンパクト10原則」を支持し、各分野における取り組みを推進しています。
こうした人権尊重の考え方は「The Advantest Way」でも明文化され、私たちのあらゆる活動の基盤となっています。
アドバンテストグループ人権方針
アドバンテストは、2021年7月に「アドバンテストグループ人権方針」を策定しました。この方針では、国際人権章典、国連グローバル・コンパクト10原則、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等に記された人権の尊重を表明しています。
2024年4月のGroup CEOの交代に伴い、私たちはこれらの国際規範に基づいて、あらためてアドバンテストグループ人権方針の見直しを行いました。改定にあたっては、労働組合を含む社内の関連各部署をはじめ、社外の人権専門家にもヒアリングを行い、ご意見やアドバイスを踏まえて案を作成し、経営会議で審議・承認の上、改定しました。
当社はサプライチェーンを通じた活動においても人権が尊重できるよう、ステークホルダーとのエンゲージメントも重視しています。人権方針の内容は、調達方針ならびにサプライチェーンCSR推進ガイドブックにも反映され、事業により人権に影響を与えうる可能性のあるステークホルダーには、そのステークホルダー自身だけでなく調達パートナーにまで配慮するよう依頼しています。
また、人権に関しては国ごとの法令対応も必要になるため、法務部門とも連携しながら人権に関する法令を遵守しています。詳細は、Country Specific Regulationsを参照ください。
人権尊重の推進体制
人権を含む人事課題についてはCHO(Chief Human Capital Officer)をトップとして、グローバル共通の取り組み体制および各地域個別の取り組み体制を整備しています。
コンプライアンスに関するリスクは、すべてChief Compliance Officer(CCO)に情報が適時または定期的に集約され、CCOから経営会議や取締役会に報告される体制となっています。当社では2023年7月からCHOがCCOを兼務しているため、人権擁護・人事苦情処理委員会等に届く人に関するリスク情報も含めてすべてCCOに集約されます。兼務によって情報が一元的に集められるガバナンスとなっており、当社のリスクマネジメントの強みと考えています。
また、人権方針と重点施策の見直しは定期的に行われています。
人権に関する重点課題とデュー・ディリジェンス
当社は人権に関する重点課題を6つ定めています。これらの重点課題において、人権のリスクを評価・特定し、人権への負の影響の防止と軽減ができるよう、さまざまな方法で人権デュー・ディリジェンスに取り組もうとしています。
-
※参照先としてリンクされている箇所に関連する内容が記載されています。
ステークホルダーとの対話
人権デュー・ディリジェンス(人権DD)を効果的に推進するためには、外部の専門家との交流が欠かせません。2023年度はILO駐日事務所と国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの共同企画「国際人権・労働基準の尊重に向けた企業内専門人材育成プログラム」に参加しました。当社の人権に関する取り組みや課題について専門家のアドバイスを参考にしながら、今後の活動につなげていきます。
外部評価機関によるアセスメントの活用
職場における人権への取り組み
アドバンテストでは、企業倫理相談室、人権擁護・人事苦情処理委員会を中心に、人権問題の啓発、施策、差別的取り扱いに関する相談および苦情対応に努めています。
人権教育
企業理念体系である「The Advantest Way」は私たちのすべての活動の基本となっています。「The Advantest Way」の行動基準には人種・性別・年齢・国籍・宗教・社会的出自・身体的障害・疾病・性的指向などによる差別を禁止する、人権擁護に関する考えを明記しています。
2013年度から実施している「The Advantest Way」のe-learning研修は当社にとって最も重要な研修であり、2023年度に体系づけられたグループ共通のコンプライアンス基礎教育(GCEP)の中でも一番先に受講するコースとなっています。2023年度も海外を含めアドバンテストグループ全社員が受講を完了しています。
また、The Advantest Wayの対面研修であるINTEGRITY Workshopは新入社員研修(キャリア採用、M&Aによる入社者も含む)として実施され、当社の企業風土をより理解できる場となっています。
人権と差別マニュアル、ハラスメント防止ガイドも策定した上で、サステナビリティ行動計画2024-2026の目標としてGCEPの受講率100%を掲げることによって、人権の保護・尊重を推進しています。
結社の自由と労使間の対話
アドバンテストは、「結社の自由」「団体交渉権」を基本的人権のひとつとして尊重しています。労働組合の結成を認めている国や地域においては、労働協約において、組合が団結権・団体交渉権・争議権を保有することを認めています。また、法令や労働慣行により労働組合の結成が認められていない国、地域においても、「結社の自由」「団体交渉権」の目的である労使間対話を通じて、健全な関係の構築と問題解決に努めています。
アドバンテストおよび国内連結子会社では、アドバンテスト労働組合等が組織されています。2023年度、アドバンテストでは80.2%の従業員が労働組合に加入しています。すべての組合とも労使協議を真摯に実施しています。
また、アドバンテスト労働組合との労働協約書において、安全衛生および苦情処理等について記載しており、各事業所の安全衛生委員会の運営、人権問題・人事苦情処理等につき、双方が協力して対応しています。
人権問題に関する報告・相談窓口(内部通報窓口)の設置
アドバンテストは、グローバル共通の企業倫理ヘルプラインを設置し、職場だけでは解決が難しい人権についての問題や相談がある場合に、企業倫理相談室に報告・相談できる制度を設けています。匿名での報告・相談が可能な仕組みを取り入れており、また、主要な言語である16言語での報告を受け付けています。スマートフォンなどのモバイル端末から報告・相談できるよう、QRコードを記載したポスターも各事業所に掲示しています。報告・相談事項は企業倫理相談室が中心となって対応し、報告者・相談者が不利益な扱いや報復行為を受けることがないよう、万全な注意を払っています。また、ヘルプラインの相談・報告をより行いやすくするため、外部の法律事務所(弁護士)への通報窓口も設けています。なお、これらのヘルプラインは海外からも利用が可能であり、グローバルイントラネットのトップページにリンクを貼っています。
また、国内においては、労働組合とともに人権擁護・人事苦情処理委員会も設置し、国内の人権問題についての相談を受け付けています。2023年度のヘルプラインおよび人権擁護・人事苦情処理委員会で受け付けたハラスメント関係の相談は3件でした。相談者のプライバシーに十分配慮したうえで人権擁護・人事苦情処理委員会が適切な対応を実施し、迅速な解決を図っています。
当社は、この活動を通して、従業員一人ひとりがお互いの人権を尊重し、安心して働くことのできる職場づくりに努めています。
国内での対応イメージ
人権擁護・人事苦情処理委員会に届いた相談・苦情に対しては、相談者の不利益にならないよう、相談者本人の意向や事案の内容により柔軟に配慮をしながら対応しています。
本人(または所属長や第三者)から人権擁護・人事苦情処理委員会に対して相談・苦情が届いたら、内容に応じて委員会メンバーの中から主担当者を決めます。その後、委員会メンバーと労働組合による「本人(被害者)」「相手方(加害者)」「周辺」のヒアリングを行います。事実関係の状況に応じて以下のような対処をしています。
ハラスメントの防止
ハラスメントについては、1999年7月より防止ガイドを作成し、ハラスメントの防止に努めてきました。法改正に基づき妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントやパワーハラスメントについても追加し、改訂を行いました。従業員がいつでも参照できるよう、イントラネットに掲載しています。
主な内容は、以下のとおりです。
-
1.昨今のハラスメントに関する動向について
-
2.職場におけるセクハラ
-
3.職場におけるパワハラ
-
4.職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント
-
5.ハラスメントの影響
-
6.法律や規則の観点から見たハラスメント
-
7.ハラスメントの防止対策
-
8.ハラスメントを受けた場合の対応
上記については、各自でセルフチェックができるように工夫を凝らしています。
ハラスメント防止について従業員へ理解を促すため、2006年4月より新入社員研修と新任Manager研修において、ハラスメント防止など人権をテーマとした教育を毎年行っています。管理職向けには研修を手厚く実施しています。2019~2020年度には全管理職に対してハラスメント研修を実施しました。2022年11月から2023年5月には国内グループ会社を含む役員および管理職、その他推薦を受けた人を対象にハラスメント防止とコミュニケーションについての対面研修を20回以上実施しました。