中長期経営方針

2022年7月28日

当社は、経営理念である「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、当社がどうありたいか、何をなすべきかを定めた中長期経営方針「グランドデザイン(10年)(2018年度~2027年度)」を2018年度に策定し、以後、この方針のもとで企業価値向上に取り組んでいます。

そして2021年度に、「第1期中期経営計画(2018~2020年度)」(略称:MTP1)が成功裡に終了したこと、またグランドデザイン策定から3年が経過したことから、業績進捗と最新の外部環境認識に沿った内容へグランドデザインを更新しました。同時に、「第2期中期経営計画(2021~2023年度)」(略称:MTP2)を2021年5月に策定し、グランドデザインの実現をより確実なものとすべく全社一丸となり取り組んでいます。

1. グランドデザイン(10年)〔2018年度~2027年度〕

< ビジョン・ステートメント >

「進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求」

< 戦略 >

当社は、半導体の量産テスト用システムの開発・販売に加え、半導体量産工程の前後工程にある半導体設計・評価工程や製品・システムレベル試験工程といった近縁市場へ事業領域を広げることで、業容の拡大と企業価値向上を目指します。

上記の達成に向け、「コア・ビジネスの強化、重点投資」、「オペレーショナル・エクセレンスの追求」、「さらなる飛躍への価値探求」、「新事業領域の開拓」、「ESGのさらなる推進」の5つの戦略課題に取り組みます。

戦略

< 中長期経営目標 >

「売上高4,000億円の達成」

グランドデザインでは当初、「売上高3,000~4,000億円」を目標としていましたが、デジタル革命の進展や市場シェア伸長などにより業績進捗が良好であったため、2021年度に長期経営目標を「売上高4,000億円の早期達成」へ修正しました。しかし半導体テスタ市場の旺盛な拡大が継続したことなどで、当初企図していた2027年度を待たず、2021年度をもってこれを早期達成しました。
今後は、このたびの売上高目標達成を弾みとしつつ、半導体需要の拡大などグランドデザインの前提とした環境変化が継続する中で各戦略を推し進め、さらなる企業価値向上を目指します。

2. 第1期中期経営計画(2018~2020年度)〔MTP1〕の総括

< 目標とした経営指標の状況 >

  2018~2020年度(平均)
保守的シナリオ
2018~2020年度(平均)
ベース・シナリオ
2018~2020年度(実績)
売上高 2,300億円 2,500億円 2,904億円
営業利益率 15% 17% 22%
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 15% 18% 29%
基本的1株当たり当期利益(EPS) 135円 170円 309円

デジタル革命の進展により半導体市場および半導体テスタ市場が拡大する中で、想定より早く市場シェア拡大を実現したこと(2017年全体シェア約36%に対し、2018~2020年平均は約50%)、M&Aで取得した事業の早期業績貢献などにより、すべての指標でベース・シナリオとして掲げた目標を超過しました。

3. 第2期中期経営計画(2021~2023年度、2022年7月改訂版)〔MTP2〕の概要

※当社は、2022年7月28日に第2期中期経営計画を下記の通り改訂しました。

< 経営指標 >

MTP2では、さらなる成長に向けた事業強化の取り組みを推進するとともに成長投資と株主還元の双方を拡充し、企業価値向上を図ります。この考えに基づき、MTP2において重視する経営指標を売上高、営業利益率、当期利益、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)、基本的1株当たり当期利益(EPS)とし、これらの成長に努めています。また計画の進捗を中長期視点で評価するため、経営指標には単年の業績変動の影響を平準化できる3か年平均の値を用いています。

半導体および半導体関連市場はこれまでMTP2策定時点での想定を超えた活況のもと推移し、当社の事業拡大策も順調に進展してきました。しかし、世界経済において景気後退リスクが高まる中、最終製品需要および半導体市場の軟化が今後見込まれます。半導体試験装置市場においても、民生機器関連向けを中心に、今後の減速を一定水準考慮する必要がある局面と認識しています。
一方で、近年の半導体用途の多様化がもたらした半導体試験装置市場の下方耐性、ハイエンド半導体におけるテスト難易度の上昇基調、大手半導体メーカーの先端技術投資に対する旺盛な意欲、当社製品の今後の販売見通し、為替動向などを総合すると、当社の売上高がこのMTP2期間内に大幅に落ち込む可能性は低いと捉えています。今般の世界経済の変調が通常の景気減速の範囲にとどまることを前提として、2022年度売上高については本日の開示のとおり前年度比31.9%増の5,500億円を、2023年度売上高については2022年度比およそマイナス15%~プラス10%圏内での推移を、現時点ではそれぞれ予想しています。

これら今後の売上予想と2021年度業績を踏まえ、MTP2の経営指標を次の通り修正いたします。

  前回公表値*1
(2021年5月)
今回修正値*2
(2022年7月)
  2021~2023年度(平均)
売上高 3,500~3,800億円 4,800~5,200億円
営業利益率 23~25% 27~30%
当期純利益 620~700億円 980~1,200億円
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 20%以上 30%~35%
基本的1株当たり当期利益(EPS) 320~370円 510~630円

*1 前回公表時の前提とした為替レートは1米ドル=105円、1ユーロ=130円
*2 今回の改訂において2022年度第2四半期~第4四半期および2023年度の業績予想の前提とした為替レートは1米ドル=130円、1ユーロ=140円(2021年度実績は1米ドル=112円、1ユーロ=130円。2022年度第1四半期実績は1米ドル=124円、1ユーロ=134円)

< 成長に向けた主な施策 >

半導体市場は今後、デジタル革命のさらなる進展や脱炭素化に向けた取り組みなどの広範な需要に支えられ、短期需要変動を繰り返しつつも中長期的に成長することが予測されています。また、近年の半導体テスタ市場拡大を牽引してきた半導体の複雑化や集積度向上は今後も積極的に推進される見通しです。これらを背景に、当社の半導体バリューチェーン全体を網羅したトータル・ソリューションに対する顧客からの期待は拡大の一途を辿っています。そうした中、昨年度掲げた成長施策を基本的に踏襲しつつ、各事業のさらなる成長に向けて取り組みます。

  • 全社共通
    半導体市場の長期成長トレンドが期待される中、当社事業の成長性担保と強靭化に向け、サプライチェーン管理、DX/AI投資、設備投資、人財投資といった全社成長基盤を強化
    半導体バリューチェーンにおける有力顧客とのパートナーシップ強化を通じた、技術進化への早期対応
  • 半導体・部品テストシステム事業部門
    新製品「V93000 EXA Scale」の強みを活かし、中長期的に堅調な需要拡大が見込まれるHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)デバイスをはじめとした各種SoC半導体の試験需要のさらなる取り込み
    MTP2期間以降本格拡大が想定される、ミリ波関連デバイスのテストにおけるリーダーポジションの確立
    パワー半導体や光電融合デバイスなど、新たな市場における需要の取り込み
    DRAM半導体向け、不揮発性メモリ半導体向けでの強固なビジネス基盤を堅持
  • メカトロニクス関連事業部門
    テスト品質向上につながるテストセル環境を提供し、販売機会を拡大
  • サービス他部門
    システムレベルテスト(SLT)需要が高まる中、モバイル、HPC、車載、メモリ/ストレージ向け等で顧客拡大。また消耗品のリカーリングビジネス強化も積極的に推進
    データ・アナリティクス分野における最適なビジネスモデル探索と事業基盤整備を継続

< コスト・利益構造 >

長期持続的な企業価値創造を目指すにあたり、付加価値向上と持続的な競争力維持の礎となるR&D投資、人財確保と育成、部材の調達力について一層の強化を図ります。
他方で、コロナウイルス変異株の拡大、半導体などの部材不足の長期化、地政学的リスク、インフレの進行や消費の落ち込みなど、世界経済や当社の事業環境における将来の不確実性は高い状態にあります。必要に応じたコストコントロールの実施など、外部環境の変化に対する機動的な対応を通じ、上記経営目標の達成に努めてまいります。

< 資本政策 >

MTP2期間においては成長に向けた事業投資を優先しつつ、資本効率と資本コストに配慮したバランスシート管理の見地から負債(デット)も柔軟に活用するという、これまでの基本的な考え方を継続します。また、経営基盤の強化および持続的企業価値創造のために、財務健全性を維持した上で適正な資本構成を追求するという方針も継続します。財務健全性については株主資本比率50%以上を、資本効率についてはROEを指標とします。

< 成長投資と株主還元見通し >

MTP2策定時の想定よりも収益拡大が見込まれることから、成長投資および株主還元に対する見通しについても下記のとおり修正します。
まずキャピタル・アロケーションに対する考え方としては、MTP2期間に予想される累計2,800~3,600億円の営業キャッシュ・フローを基本の原資とし、状況に応じて手元現金水準を見直しつつ成長投資および株主還元に適宜配分します。成長投資に対する資源配分については、半導体市場の長期的拡大と半導体のさらなる高性能化が見込まれる中、開発・生産設備投資を当初の想定よりも増強します。MTP2期間累計で設備投資に700億円を、M&A等の戦略投資に1,000億円を現時点では想定しています。
また株主還元についてはMTP2期間における安定的な事業環境を前提に、これまでの還元方針を踏襲します。具体的には、配当については1株当たり半期50円・通期100円を最低額とした安定的な配当を継続しつつ、通期総還元性向は50%以上を目途とし、配当や自己株式の取得を通じて株主還元を強化するとともに資本効率の向上を図ります。

(※) 総還元性向:(配当額+自己株式取得)÷連結当期利益

2022年7月28日発表資料

※ 2022年8月16日資料訂正
説明会資料において、一部記載に乱れがございました。以下のとおり謹んで訂正いたします。
訂正箇所
スライド18ページ
【訂正前】 顧客価値提 【訂正後】 顧客価値提供