当社メモリ・テスト・システムを用いたSTT-MRAMの歩留まり率向上と高性能化の実証実験に成功

2018/05/18 トピックス

東北大学CIESとの共同研究、STT-MRAMの開発効率向上と量産化に寄与

株式会社アドバンテスト(本社:東京都千代田区 代表取締役 兼 執行役員社長:吉田 芳明)は、国立大学法人東北大学(総長:大野 英男/以下、東北大学)国際集積エレクトロニクス研究開発センター(以下、CIES)の遠藤 哲郎センター長(兼 同大学大学院工学研究科教授)のグループと共同で、当社メモリ・テスト・システムを用いて、次世代メモリとして期待されている「スピン注入型磁気ランダム・アクセス・メモリ(STT-MRAM)」の歩留まり率向上と高性能化の実証実験に成功しました。
今回の実証実験の成果は、STT-MRAM向けテスト・システム実用化への大きな一歩であり、STT-MRAMの開発効率向上と量産への貢献につながるものです。

半導体メモリは、技術の進歩とともに大容量化、高速化が進んできました。しかし現在、高速メモリの主流であるDRAMなどの揮発性メモリは、待機電力の増加という問題に直面しています。NANDフラッシュなどの不揮発性メモリは、電力無しで情報を保持できるものの、高速動作や書き換え耐性等の面で課題を残しています。
現在、これらの問題を解決するために、磁石の性質を用いた不揮発性メモリであるMRAMの研究・開発が盛んに行われています。中でも、電子が持つ電荷の性質と磁石の性質の両方を利用したSTT-MRAMは、他の不揮発性メモリでは実現が難しいとされる高速動作、低電圧動作、高書き換え耐性の特性を全て有し注目を集めています。

STT-MRAMの性能評価に際して、当社はCIESと共同で、メモリ・テスト・システム「T5385ES」をベースに、電気的特性と磁気的特性をあわせ持つSTT-MRAM特有の不良モードを検知可能な、新たな高速テスト・システムを開発しました。そのシステムを用いて、従来の加工技術と新しい加工技術(反応性イオンエッチング:RIE)で加工された、2種類のSTT-MRAMの300 mmウエハ全面を評価した結果、新加工技術によって歩留まり率が91%から97%に改善することを確認しました(図1)。また、高速動作特性の向上も明らかにしました(図2)。

今回の成果は、5月13日~16日に京都で開催された国際学会「米国電気電子学会 国際メモリワークショップ(IEEE International Memory Workshop)」で発表済みです。
また、詳細につきましては、東北大学のプレスリリースをご参照ください。

STT-MRAMの評価に用いた当社製メモリ・テスト・システム「T5385ES」
図1:STT-MRAMチップの歩留まり率。新加工技術によるウエハの方が、高い歩留まり率を示す黄緑色のエリアが多い。
図2:STT-MRAMの高速動作特性の評価結果。書き込み動作スピード(横軸:左に行くほど速い)と、書き込み電源電圧(縦軸:上に行くほど高い)の組み合わせごとの、書き込み成功率を色で表している。新加工技術の方が緑色が多く、成功率が高いことが示されている。

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