光超音波顕微鏡Hadatomo™ Z用 2波長レーザーを開発

2020/10/20 製品情報

皮膚のメラニンと血管網を3D画像で識別

株式会社アドバンテスト(本社:東京都千代田区 社長:吉田 芳明)は、当社の光超音波顕微鏡「Hadatomo™ Z」向けに、皮膚のメラニンと血管網を3D画像で識別可能な2波長レーザーを開発しました。従来装置では困難だった、メラニンと血管網の位置関係を一目で把握することができ、皮膚研究や美容、医療分野の研究にご活用いただけます。

新技術の特長

当社がこれまで培ってきた、光パラメトリック発生による独自の波長変換技術※1を応用し、波長が575 nmと 650 nmの2波長レーザーを開発しました。当社の「Hadatomo™ Z」 で従来用いられている532 nmと556 nmの波長は、いずれも血液の吸収係数が高く血管網の画像化に適している一方、メラニンの吸収係数も高いため、メラニンと血管が共に画像化されます。メラニンは表皮基底層に分布し、血管は真皮乳頭層に走行しており、両者はほぼ同じ深さに存在するため画像での識別は困難でした。

新技術で採用した650 nmの波長は、メラニンの吸収係数が高く血液の吸収係数が低いため、メラニンを選択的に画像化することができます。575 nmの波長で得られた血管網画像と重ねることで、メラニンと血管を識別可能な形で3D画像化します。加えて、光源や電源などを小型化することで、Hadatomo™ Zに実装可能なサイズを実現しました。

  • 波長と吸収係数の関係図
  • 光超音波顕微鏡
    Hadatomo™ Z

新技術の応用例

  • ヒトの上腕の測定例(写真1) 532 nmレーザーによる左の画像では、メラニンと血管が共に画像化され、識別は困難です。一方、新製品2波長レーザーはメラニンと血管を分離し別の色で表示することができます。画像内の緑がメラニンを示し、赤が血管網を示しています。
  • 頭皮の測定例(写真2) 皮膚内部の体毛と、頭皮の血管網を3D画像として画像化できています。新製品の2波長レーザーは、皮膚をメラニン分布と血管走行の観点から計測可能にします。
  • (写真1)
  • (写真2)

新技術による2波長レーザーは、ポーラ化成工業株式会社様の研究にお役立ていただき、その成果が第31回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)世界大会で発表される予定です※2。なお、新技術による2波長レーザーを搭載した製品の受注開始は、2020年12月頃を予定しています。

※1 波長変換技術は、国立研究開発法人 物質・材料研究機構と株式会社アドバンテスト研究所の共同研究開発によるものです。

※2 『ありのまま計測 -ダブルアライブ計測-だからできる新たな皮膚老化物性解明の試み~光音響法と皮膚画像の深層学習による、皮膚内部構造の見た目印象老化への関与の解明~』

 

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