高速スキャン・テストとソフトウェアベースのファンクション・テストを実現 V93000の新デジタル・カード「Link Scale™」を発表

2021/11/08 製品情報

株式会社アドバンテスト(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:吉田 芳明)は、テスト・システム「V93000」用の新デジタル・カード「Link Scale™」を発表しました。これにより、先端デバイスのソフトウェアベースのファンクション・テストや、USB やPCI Express(PCIe)を介した高速スキャン・テストが可能になります。高速シリアル・インタフェースをプロトコル・モード*1で動作させることによって、V93000上でシステム・レベルと同等の「system-like test™」をご利用いただけます。

  • Link Scale USB

  • Link Scale PCIe

  • テスト・システムV93000 Exa Scale

今日の複雑なSoCデバイス、マイクロプロセッサー、グラフィックス・プロセッサー、AIアクセラレーターの多くは、USBやPCIeなどの高速デジタル・インタフェースを内蔵しています。Link Scale™は、これらのインタフェースを使用して、ファンクション・テストやスキャン・テストのデータを高速伝送し、テスト・カバレッジとスループットの両方を高めます。他のV93000用カードと同様に、テスト・ヘッドにインストールしてお使いいただけます。

Link Scale™では、標準の高速シリアルインタェースを介してテスト対象のデバイスと通信することで、テスト・デバイスを使用する最終製品と同様のファームウェアとドライバが動作する環境でテストすることができます。高速インタフェースでスループットが向上した結果、従来と同等のテスト時間でファンクション・テストの項目を増やし、先端プロセスによる複雑なデバイスの厳しい品質要件を満たすことができます。また、Link Scale™はローターバッハ社の「TRACE32®」のような最先端のデバッグツールと併せて使用することができ、最初のシリコン投入からプロセス立ち上げ、量産へと至る一連の過程を改善します。

Link Scale™は、主要EDAツールが対応しているポータブル・スティミュラス標準*2(Portable Test and Stimulus Standard; PSS)に準拠することで、設計段階のテスト環境を後のデバイス・テスト工程でも利用可能にし、テスト品質の向上と市場投入までの時間短縮を実現します。Link Scale™上で動作するホスト・ソフトウェアはカスタマイズ可能であり、「フル・ソフトウェア・スタック*3」でのテストをV93000上で行うことができます。前工程試験、後工程試験、システム・レベル・テストなど、異なる環境間でのテストデータの交換を容易にし、複数のダイを1つのパッケージに実装する2.5Dや3DデバイスなどのチップレットのKGD*4保証に貢献します。

ケイデンス社 Vice president of business and customer development in the System & Verification Group, Yogesh Goel氏コメント:

この度、アドバンテストとのコラボレーションを通じて、当社のPerspec™ System Verifierを用いたサービスをお客さまに提案いたします。このサービスは、設計検証で行われたソフトウェアベースの機能ストレステストを量産工程で再利用することができます。テストを自動で生成、修正し、テスト・カバレッジの拡大と実行時間の短縮を可能にするこのツールが、きっとお客様のお役に立つことと信じています。

アドバンテスト 経営執行役員 93000事業本部長 Juergen Serrer コメント:

高速インタフェースの採用、お客様の被測定デバイスに対応したシステム・レベル同等のテスト環境とそれを実現するコンピューティングパワー、そしてEDAパートナーのサポートにより、Link Scale™は従来のテスト・システムを大きく凌駕するテストおよびデバッグ機能を実現します。V93000プラットフォームのターゲット・アプリケーションを新たな分野に広げ、テスト・システムでのデジタル・テストの可能性をより大きなものにします。

Link Scale™は、V93000 Smart ScaleとV93000 EXA Scale™の両方で使用可能です。すでにテスト・プログラム開発用として一部のお客様に試験的にご利用いただいているほか、2022年の1-3月期には幅広いお客様に拡販していく予定です。

*1 プロトコル・モード:高速インタフェースが、被測定デバイスが搭載されるシステムのアプリケーションと同様にふるまうこと。これにより、最終製品と同等の環境でのデバイス・テストが可能になる。
*2 ポータブル・スティミュラス標準:ハードウェアやソフトウェアの設計、試作や量産などさまざまな工程で同じテスト仕様を共有し利用するための標準。EDAベンダー、ファブレス、ファウンドリ等で構成される業界団体「Accellera Systems Initiative」が策定。
*3 フル・ソフトウェア・スタック:被測定デバイスを使用する最終製品上でデバイスと連携するアプリケーション・ソフトウエアを全て揃えた状態を指す。
*4 KGD (Known Good Die):パッケージされる前のベアチップ(ダイ)で、良品であることを保証されたものを指す。

アドバンテストについて

アドバンテストは、計測技術をコアテクノロジーとするテスト・ソリューションカンパニーです。1954年の創業以来、エレクトロニクスの発展とともに成長し、人びとの暮らしの「安心・安全・心地よい」をサポートしてきました。主力製品となる半導体試験装置は世界最大手であり、当社の海外売上高比率は9割を超えています。アドバンテストは、「先端技術を先端で支える」という企業理念のもと、進展著しいデジタル社会のインフラストラクチャーである半導体の品質や信頼性の向上を通じて、社会の持続可能な発展に寄与しています。詳しくは当社ウェブサイト(www.advantest.com)をご参照ください。

※ 本ニュースリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報であり、時間の経過、または、さまざまな事象により予告無く変更される可能性がありますので、あらかじめご了承ください。