アドバンテストがシリコン検証を自動化する画期的なソリューション「SiConic」を発表

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シリコン検証の自動化を可能にするソフトウェアとハードウェアの統合環境を提供

株式会社アドバンテスト(本社:東京都千代田区 代表取締役 Group CEO:Douglas Lefever、以下「当社」)は、シリコン検証を自動化するスケーラブルなソリューション「SiConic」を発表しました。
本ソリューションは、プレシリコン検証*1のデータをポストシリコン検証*2に活用して開発工期短縮と品質向上を図るものです。

先端SoCデバイスの複雑化に対応するSiConicは、設計検証(Design Verification、以下DV)とシリコン検証(Silicon Validation、以下SV)を行うエンジニア向けに、卓越した信頼性、効率性、コラボレーションを提供し、より迅速なサインオフ*3を可能にします。

今日の半導体業界では、SoCデバイス設計の複雑化に加え、3Dパッケージやチップレット等の導入により、従来の検証手法では現状の課題に対応しきれなくなっています。また、デバイスの高機能化と開発期間の短縮が進む一方で、市場投入と品質確保のスピードの両立が求められています。
プレシリコンで作成された膨大な検証のためのテスト・コンテンツを再利用可能であれば、効率と品質の大幅な向上が期待できますが、シリコン検証向けのテスト・コンテンツを確実に再利用し拡張できる自動化フローやツールが不足しているのが現状です。

 Cadence社、Siemens社、Synopsys社 などの EDA パートナーを含む SiConic のエコシステムは、この再利用の課題を克服し、エンジニアリングの効率化と実際のシリコン上でのテストの迅速化に貢献します。 

SiConicは、「SiConic Explorer」と「SiConic Link」で構成されています。
「SiConic Explorer」は本ソリューションのソフトウェア基盤として、標準化団体であるAccelleraの Portable Test and Stimulus Standard (PSS) 準拠のEDA検証ツール(Cadence 社のCadence Perspec System Verifierなど)とシームレスに統合し、自動化フローを実現します。また、Lauterbach社のTRACE32のようなデバッガ*4との統合により、複雑なマルチIPテスト・ケースの迅速な立ち上げを支援します。

「SiConic Link」は、ベンチ環境下におけるSiConicのハードウェア基盤です。高速I/O機能を備えたSiConic Linkは、PCIeやUSBなどのインターフェース規格をサポートし、テスト実行中の高スループットな機能検証や詳細なトレース解析を可能にします。さらにJTAG*5やSPI*6といった制御インターフェースや汎用I/Oを備え、デバッグのワークフローを改善するとともに、ターゲットボード環境におけるデバイスの制御性と可視性を大幅に向上させます。

DVエンジニアは、使い慣れたプレシリコン手法をそのまま活用し、ポストシリコン環境でも広範な機能検証を行うことができます。一方、SVエンジニアは、PSSベースまたは手動で指示されたテスト・コンテンツのシームレスなロード、パラメータ設定、デバッグにより、迅速で信頼性の高いデバイスの立ち上げと機能特性評価が可能になります。

ポータビリティの高いSiConicは、複雑なSoCと多様なIPブロックを扱う分散型のグローバルR&Dチームにもスムーズに導入いただけます。また、チームの連携とデータに基づくインサイトを活かし、信頼性の高いサインオフ判断を可能にするとともに、早期サンプルを受け取る顧客との信頼関係を構築し、システムの長期的な安定稼働とスムーズな量産移行を支援します。

  • *1
    シリコン試作前に、シミュレーション等を用いて設計の機能や性能を確認するプロセス。
  • *2
    試作チップを使い、実機環境で動作や特性を評価し、量産に向けた最終調整を行うプロセス。
  • *3
    半導体の設計や検証が終わったあと、製造や量産といった次のステップに進むために各工程の結果が正式に承認されること。
  • *4
    システムの不具合(バグ)を特定し、修正を支援するツール。
  • *5
    Joint Test Action Group:電子回路のテストやデバッグ、プログラミングに用いられる標準規格。
  • *6
    Serial Peripheral Interface:データを高速転送するための通信規格。

■AMD社 Alex Starr氏(Corporate Fellow)コメント:

マルチ・チップレット設計の複雑化が進む中、プレシリコン段階での検証やポストシリコン段階での評価において、品質と性能を保証するための新たな手法やアプローチが必要とされています。当社は、特にPSSを活用した取り組みを通じてアドバンテストと連携することで、プレシリコンとポストシリコンをスムーズにつなぐ、効率的で拡張性のある包括的なテスト環境を提供できることを嬉しく思います。

■Cadence Design Systems社 Paul Cunningham氏(Senior VP and GM, System Verification Group)コメント:

AIやADASといったミッションクリティカルなアプリケーションの拡大にともない、複雑性の増大と品質に関する課題が新たなソリューションを必要としています。当社は、PSSベースのPerspec System Verifierを用いた最先端かつ最高レベルの検証を通じ、検証ソリューションの分野をリードしています。今回、アドバンテストとの連携により、当社のソリューションをシリコン上へと拡張できることを大変嬉しく思います。PSSコンテンツをシリコンに活用し、SiConicの制御性と可観測性を組み合わせることで、顧客はより高い検証カバレッジを実現し、複雑な設計に対する深いインサイトを得ることが可能になります。

■当社経営執行役員 Juergen Serrer(CTO & ATEビジネスグループリーダー)コメント:

長年にわたり、半導体業界ではシリコンの立ち上げのため、難易度が高く、様々なチーム間の協力によるテスト・コンテンツの開発が常に求められてきました。また、ベンチやATEといった多様な環境における検証プロセスには、体系化された一貫性が求められてきました。デバイスの複雑化と品質要求が高まる中、今こそ体系化された自動化フローによる画期的な効率向上が求められています。例えばプレシリコンでテストを開発するエンジニアには、シリコン上で直接ロード、デバッグ、分析できる統合環境が不可欠です。SiConicは、このような課題に対してアドバンテストが提案する答えです。当社は、業界をリードする顧客やパートナーと連携し、SiConicをあらゆる主要なテスト・タイプやアプリケーションへと展開していくことをお約束いたします。

なお、当社は2月24日~27日に米国カリォルニア州サンノゼで開催される「DVCon」(Design and Verification Conference & Exhibition)にSiConicを出展します。

アドバンテストについて

アドバンテストは、計測技術をコアテクノロジーとするテスト・ソリューションカンパニーです。1954年の創業以来、エレクトロニクスの発展とともに成長し、人びとの暮らしの「安全・安心・心地よい」をサポートしてきました。主力製品となる半導体試験装置は世界最大手であり、当社の海外売上高比率は9割を超えています。アドバンテストは、「先端技術を先端で支える」という企業理念のもと、進展著しいデジタル社会のインフラストラクチャーである半導体の品質や信頼性の向上を通じて、社会の持続可能な発展に寄与しています。詳しくは当社ウェブサイト(www.advantest.com/ja/)をご参照ください。

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