光超音波顕微鏡 Hadatomo™ Z WEL5200

MODEL IMAGE

皮膚内部の血管情報を非侵襲で3D画像化

「HadatomoTM Z」は、波長の異なる2波長の光超音波で血管の酸素飽和度を、超音波で肌のキメや毛穴、皮脂腺などの皮膚構造を同時に画像化します。
皮膚内の深さ3mmまでの血管メカニズムを、光超音波と超音波でより明確に画像化することで、美容分野での血管拡張や血行促進の効能研究をはじめ、医療分野での皮膚がんの血管生成モニタリングなど、3次元画像解析に貢献します。

特長

マルチモダリティイメージング

メラニン、血管など光の吸収特性を持つ物質を選択的に画像化する光超音波と、組織の硬さの違いから皮膚構造を画像化する超音波を、1つのシステムに統合。

準リアルタイムイメージング

最短40 秒(範囲:6mm x6mm x3mm(Depth))から最長210 秒(範囲:9mm x9mm x3mm(Depth))で、光超音波イメージングと超音波イメージングを同時に測定。

高解像度画像を容易に取得

専用に開発した超音波センサを搭載し、ソフトウエア上で断層画像を見ながら簡単に焦点位置を合わせることが可能。

操作性と可搬性重視のフレキシブル設計

キャスタ構造のシステムユニットに、可動するアーム構造の測定部を搭載したコンパクト設計。
簡易なセットアップで、様々な部位の測定に対応。

ラベルフリー

測定部位には少量の水(音響カップリング剤)を塗布するだけ。造影剤不要で非侵襲的測定を実現。

3次元画像用データを取得

測定データは2次元断層画像でリアルタイムに表示されるほか、3次元画像用データの取得も可能。ユーザー側で用意したソフトの使用で3次元画像解析に対応。

仕様

システム

測定方法 2D(断層画像), 3D
サンプリング周波数 500 MHz
外形寸法 約 610 (W) × 約 730 (D) × 約 1,400 (H) mm
重量 135 kg以下

3D画像

測定エリア(x, y) (1) 6 x 6 mm (2) 9 x 9 mm
測定深度(z) 3 mm(信号取得範囲として規定)
スキャンステップ 15 μm / 30 μm
測定時間(15 μm) (1) 210 s (2) 420 s
測定時間(30 μm) (1) 70 s (2) 140 s

2D画像

測定エリア(x, ) 6 mm
測定深度(z) 3 mm
スキャンステップ 15 μm / 30 μm
フレームレート 1 fps

光超音波イメージング

波長 (A) 532/556 nm (B) 575/650 nm *1
水平方向表示分解能 15 μm
深さ方向表示分解能 12 μm *2
光照射エネルギー
(A)16 μJ/pulse以下
(B)18 μJ/pulse以下(575 nm)
14 μJ/pulse以下(650 nm)*3
パルス幅 10 ns以下
繰り返し周波数 1000 Hz *4

超音波イメージング

水平方向表示分解能 15 μm
深さ方向表示分解能 12 μm *5
送信繰り返し周波数 1000 Hz

超音波センサ仕様

中心周波数 60 MHz ± 20 %

*1 : 532/556 nmか575/650 nmのいずれかを選択。

*2 : 超音波速度によります。

*3 : 平均値にて規定。

*4 : 1波長ごとに1000 Hz。

*5 : 超音波速度によります。

※ 製品仕様および外観等は、予告なしに変更することがありますのでご了承ください。

※ 本製品は理化学機器です。疾病の診断にはご使用になれません。

 
Melanin
 
Blood vessels
 
Ultrasound (US)
  3D 2D
Face

575 / 650 nm Laser Unit

575 / 650 nm Laser Unit

Upperarm

575 / 650 nm Laser Unit

575 / 650 nm Laser Unit

Hair

575 / 650 nm Laser Unit

575 / 650 nm Laser Unit

  焦点を爪上皮に合わせた場合 焦点を爪床に合わせた場合

爪上皮の血管網

爪床の血管網

光音響効果はグラハム・ベルによって、19世紀に発見されました。
20世紀にはガスの分析装置としてとして応用されていましたが、レーザー、超音波、PCなどの技術革新に伴い、21世紀になり生体イメージングへの応用の研究が行われています。

生体に特定波長のパルス光を照射すると、その波長に吸収特性のある物質(ヘモグロビン)が選択的に光のエネルギーを吸収し、断熱膨張します。
その熱弾性波が超音波として生体内を伝搬し、生体表面のセンサで信号として捉えることができます。
超音波の伝搬時間から正確な深さ情報と共に物質の分布を画像化できること、光の吸収特性を用いることで高コントラストの画像が得られることが特徴です。

生体は光に対して高散乱特性を持ちます。
光学イメージングにおいて、生体に照射した光も生体から戻ってくる光も共に散乱の影響を受けるため、測定深度が制限されます。
それに対して光超音波イメージングは生体に照射する光は散乱の影響を受けるものの、発生した超音波は生体内で高伝搬特性を持つため、光学イメージングよりも優れた測定深度を得ることができます。

様々な部位の診断に用いられるエコー(超音波診断)は生体組織の硬さの違いを用いて生体の構造を非侵襲に画像化します。しかし皮膚内の血管など生体浅部で硬さの違いが少ないものの画像化は困難です。
一方、顕微鏡などに代表される光学イメージングでは高解像度の画像が得られますが、その測定深度は1mmに達しません。
このように生体浅部mm~cmには既存の技術では画像化できない領域が存在します。

光超音波イメージングは、このmm~cmの領域を画像化できる新たなイメージング手法です。

アドバンテストはこれまで光超音波イメージングの研究開発に取り組んできました。2016年に光超音波顕微鏡Hadatomoをリリースし、2019年には高解像度化した光超音波顕微鏡Hadatomo Zをリリースしました。
Hadatomo Zは2波長光超音波イメージング、超音波イメージングに対応しています。2波長(532/556nm)の光超音波イメージングで酸素飽和度などの演算が可能であり、超音波画像と光超音波画像を重畳することで、皮膚内の血管の走行を明瞭に表示できます。
2020年にはHadatomo Z用の新たな2波長レーザー(575/650 nm)を開発しました。波長650 nmでメラニンを、波長575 nmで血管網を画像化することができメラニンと血管網を分離して表示することができます。
このように皮膚の新たな研究ツールとして、研究者に新たな価値を提供します。

532 + 556 nm Laser Unitで用いている波長532 nm, 556 nmでは、それぞれ酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビンの吸収係数が異なります。この違いを利用して、測定した光超音波信号から酸素飽和度を演算することができます。一方メラニンの吸収係数も同様に高いため、メラニンと血管を分離することは困難です。

575 + 650 nm Laser Unitで用いている波長650 nmでは、ヘモグロビンの吸収係数が低く、メラニンの選択的な画像化が可能です。
波長575 nmではメラニンと血管の両者が画像化されますが、650 nmで得られた信号との差分を取ることで、血管の抽出も可能となります。
両者を重畳することで、メラニンと血管の3D画像を作成することができます。

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Hadatomo Zは高分解能の超音波センサが測定範囲をスキャンしながら、光超音波信号と超音波信号を取得します。測定ポイントごとに、2種類の波長での光超音波イメージングと超音波イメージングを高速で行い、次のポイントに移動します。測定後に、2種類の光超音波イメージング、超音波イメージングの測定データを保存することできます。測定したデータは3D画像として表示することが可能です。

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2種類の光超音波画像から酸素飽和度の演算をしたり、光超音波画像と超音波画像を重畳することで、皮膚内の血管の走行を確認することができます。またRAWデータから数値解析を行うことも可能です。

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Hadatomo Zはキャスター付きで簡単に移動することが可能です。フレキシブルアームにより様々な部位を測定することができます。







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