TDR解析(Open/Short不良などの故障点解析)

テラヘルツ技術を活用し、フリップチップBGA、ウェハ・レベル・パッケージ、2.5D/3D IC等、さまざまな最先端半導体パッケージの配線品質を高精度に解析します。世界最高クラスの信号品質を持つTDR解析システムです。

TS9001 TDRシステム

さまざまなプローバに接続可能!

お客様が所有/選定された高周波プロービングシステムとの接続を可能とし、デバイス形状や故障解析環境に対して柔軟なソリューションを提供します。

システム構成例
先端ICパッケージの配線不良解析 TS9001 TDRシステムの紹介

製品の特長

電子機器の小型化、高集積化の進む半導体パッケージは、その故障個所を非破壊かつ高精度で特定する必要性が高まっており、多様化する故障解析条件に対し、最適な解析環境を容易に実現するシステムが求められています。

TS9001 TDRシステムのTDR解析は、当社独自の短パルス信号処理技術による高分解能のTDR測定(時間領域反射測定)により、最先端半導体パッケージ、電子部品、プリント基板内配線の故障箇所を高速高精度の非破壊解析を実現します。

  • 2.5D_IC、3D_ICの故障解析に対応した性能を実現
    • 故障箇所検出分解能 < 5μm
  • 自動化されたTDR測定

    オートプローバの自動タッチダウン機能の活用により、誤差の少ない再現性のある測定が可能であり、ヒューマンエラーの低減に貢献します。

  • 評価サンプルの温度制御が可能(TS9001+外部プローバ接続)

    (推奨)FormFactor社製 RF Probe System SUMMIT200 (高温/低温仕様 -60℃~300℃)

  • 充実した解析ソフト

    CAD上に故障位置を表示するFailure Position Viewerを用意(オプション)

THz技術を活用したTDR測定について

オシロスコープTDRを用いた故障解析の課題  ⇒ 故障点特定誤差が大きい

解析に用いるプローブ信号にステップ応答波形を使用。
良品と不良品で取得したTDR波形の振幅変化の起点を故障点として特定するが、起点が不明瞭のため故障点特定誤差が大きい。

プローブ信号をインパルス波形とし、故障点をパルスピークで簡単に特定(直観的)

高密度LSIパッケージにおける故障解析

1. パッケージ内配線の不良解析

  • 配線不良点がSi Interposer内かパッケージ側か切り分け
  • 前工程/後工程のどちらに不良原因があるかを特定

2. Si Interposer実装(C4 Bump)不良解析

  • テストビークルによるSi Interposer実装条件出し評価
  • テストビークル上のdaisy chain構造を不良点解析し、実装条件にフィードバック

3. 積層メモリ実装(TSV,Micro-Bump)不良解析

  • 積層チップの故障層を特定

4. プリント基板の配線不良解析

  • 多層基板内のビアや信号ラインの故障点特定

Small-BGAにおける故障解析

  • 基板内のスルーホール、配線およびボンディングワイヤー部にOpen故障を形成してTDR解析
  • 複雑な構造を持つパッケージでも故障点からの反射パルスを検出

主な解析事例

  • TSVなどの微小ビア内やバンプ間の故障解析
  • 接触点不良の温度依存性解析
  • 波形の僅かな差異として現れる高抵抗不良の解析
1 基板 マイクロストリップライン Open
Short
伝送ライン Open
Short
2 QFP ボンディングワイヤー Open
Short
3 small-BGA ボンディングワイヤー Open
基板内スルーホール Open
基板内配線 Open
4 FCBGA バンプ Open
デイジーチェーン Open
Short
バンプ 高抵抗
バンプ近傍(長さ<1mm) Open

主な機能、仕様

項目 TS9001
TDRシステム性能 故障箇所検出分解能 5μm *4, 10μm *5
立上がり時間 12ps
最大測定距離 *1 100mm
測定時間 *2 30sec/point
Prober性能 プローバ 他社プローバ *6
最小パッド *3 50μm *6
プロービング方法 自動 *6
ステージ位置再現性 1.5μm *6
ステージ可動領域 203×203mm *6
サンプル温度 下記温度範囲から選択 *6,7
室温, 室温~+200℃, -60~+200℃
解析ソフトPC TDR Analyzer 搭載
TDR CAD DATA LINK オプション *8
解析PC 標準付属(OS:Windows10Pro 64bit)
一般仕様 性能保証範囲 温度範囲:+23±5℃ 相対湿度:80%以下(結露なきこと)
使用環境 温度範囲:+10~+30℃ 相対湿度:80%以下(結露なきこと)
保存環境 温度範囲:-10~+50℃ 相対湿度:80%以下(結露なきこと)

*1: 測定する伝送ラインの実効誘電率を5とした場合の最大測定距離になります。

*2: 積算1024回、プローブコンタクト時間を含みません。

*3: カメラでモニタできる最小パッドを示しています。コンタクトが可能な最小パッドは、使用するプローブにより決まります。弊社が推奨するFormFactor社製ACP110(RCオプション)の最小コンタクトパッドは40μm×70μmです。

*4: @時間領域 0~800ps 積算16384回

*5: @時間領域 800~1500ps 積算16384回

*6: 弊社推奨のFormFactor社製RF Probe System SUMMIT200を用いた場合です。

*7: 使用するプローブの使用温度範囲に制限される場合があります。弊社推奨のFormFactor社製ACP110の使用温度範囲は-65~+200℃です。

*8: オプション:製品コード PYTE01-21MAIS

  機能
解析機能

測定データからの障害点抽出 (オープン、ショート、インピーダンス不整合)を容易に解析

  • 正常品データとの差分表示
  • ピークサーチ
  • 演算(Deconvolution、Smoothingなど)
  • 波形上にマーカーやカーソルの表示

解析結果とCADデータをリンクした視覚的な解析 *1

  • 推定障害位置のCADデータ表示
  • マルチブランチ対応
  • レイヤ別表示
外部出力機能 測定データをCSVファイルに出力

*1: CAD Data Linkオプション(PYTE01-21MAIS)使用時の機能

TS9001 TDRシステムは「TDR Analyzer」を標準装備しています。積分機能も備わっており、ステップ波形(オシロスコープ観測)の解析にも対応しています。また、オプションの「TDR CAD Data Link」を活用する事でCAD配線データ上の故障箇所をマッピング表示でき、故障原因推定もより容易なものとなります。

TDR Analyzer基本機能と使用例

基本機能

  1. 波形演算機能 スケーリング&オフセット/スムージング/四則演算/微分/積分/ノーマライズ
  2. マーカー機能
    • マーカ位置の振幅/時間/距離表示
      実効誘電率指定
      時間⇒距離算出
      距離指定
      時間⇒実効誘電率算出
    • Peak検出

      Peakスレッショルド指定 による検出 / 立上り、立下りによる検出多重反射点のマーキング

使用例1. ノーマライズ演算

Reference(良品)とSample(不良品)の波形のレベルと位相を合わせて差分をとることで、Sample波形の特徴のみを抽出。
良品と不良品で共通する波形の特徴がキャンセルされ、不良品の特徴のみ際立たせることができます。

使用例2. Peak検出機能

波形から条件に合ったピークを見つけて、波形にマーカーを表示する。ピーク検出により故障箇所を容易に特定。
検出したいピークの極性や閾値を指定して検出する。検出したピークしたマーカーで表示する。マーカーの位置はリストで表示されます。

Failure Position Viewer基本機能と使用例

  1. CADファイルの読込み ODB++(メンター・グラフィックス社が提唱、業界をリードする数多くのCAD/CAMベンダがサポート)
  2. TDR測定位置の指定 測定対象PAD位置をマウスでクリックし測定点を指定可能
  3. 故障推定位置の可視化 複数レイヤ間を跨る配線、分岐した配線にも対応

基本機能

TDR Analyzerの波形演算機能やマーカー機能で、故障位置の特徴を示すPeakを検出できます。

使用例3. 故障推定位置の可視化

Failure Position Viewerを起動すると、マーカ位置がViewer上に表示され、CAD上で故障位置を推定できます。