サステナビリティ経営推進担当役員メッセージ

社会の「安全・安心・心地よい」を目指して

世界では、米中間のハイテク分野や世界経済における覇権争いが続く中、追い打ちをかけるようにゼロコロナ政策を掲げる中国経済の減速、ウクライナ情勢の緊迫によるグローバルサプライチェーンの混乱と原材料や部品の不足、エネルギー価格の高騰などが起こり、世界的な景気後退懸念および物価上昇リスクが非常に高まりつつあります。さらに、気候変動問題や人口問題など社会課題が地球規模で顕在化し、我々の企業活動においてもこれら懸念に対して長短を問わず適切な行動が求められています。不確実性の高い事業環境のもと、当社はコア事業の半導体試験装置ビジネスにおいて、顧客ニーズを的確に捉えソリューションを提供することで顧客満足度の最大化に努めるとともに、長期的かつ持続的な視点から「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」を重視したサステナブル経営を推進し企業価値向上に努めています。

ここで、2021年度に始めた第2期中期経営計画 (MTP2) において、我々が取り組んできたESG活動を振り返ります。E(環境)分野では、GHG排出量削減、再生エネルギー導入、生産プロセス見直しによる工期短縮、グリーン製品の開発/販売強化、資源循環や生物多様性への対応などを重点テーマとし、ゴールを設定するとともにKPIによる評価と改善を行ってまいりました。S(社会)分野では、サプライチェーンにおける人権や安全衛生、紛争鉱物の不使用および公正な取引慣行と調達方針遵守などの企業が果たすべき社会的責任としてサプライチェーン全体で透明性や信頼性を高める活動の強化を図りました。また、グローバル人事施策として、ダイバーシティの推進、人権方針の浸透と教育の強化、従業員エンゲージメントの強化、顧客に対しては顧客満足度の向上に努めてまいりました。G(企業ガバナンス)分野では、取締役会の実効性を高めるために取締役会に対する事業戦略説明会を開催、経営陣のサクセッションプランの本格導入、また、全世界社員への「The Advantest Way」のさらなる浸透に努めるとともに、コンプライアンスおよびリスクマネジメント体制の強化を図ってまいりました。

一方、テクノロジーの急速な変化に代表されるコミュニケーション・ネットワークやデータセンターなどのデジタルインフラ領域におけるイノベーションとあらゆる電子機器に使用される半導体の高度化がその中核となって社会のデジタル・トランスフォーメーションを加速させています。当社は、自己のパーパス「先端技術を先端で支える」の実現により社会のデジタル・トランスフォーメーションを支え、「安全・安心・心地よい」社会の実現に貢献します。このような環境の下、半導体試験装置メーカーとしての重点課題は、半導体市場における「微細化による半導体の飛躍的進化に対応するテスト効率の向上」「2.5D/3Dなどの先端パッケージへの移行に伴うデバイス品質/性能の担保」「早期歩留り改善と先端製造ライン生産立ち上げ」「半導体に対する高信頼性要求の増大」「動作スピード等の飛躍的向上」などの半導体市場におけるテクノロジーおよび量産への進化に対応した高性能試験装置の開発とソリューションの提供です。こうしたテクノロジーメガトレンドを的確に捉え顧客に価値ある製品/サポートを提供していくことこそが、将来の地球環境保全、効率的な社会インフラやサプライチェーン構築への貢献につながり、これらの貢献と企業ガバナンスの強化が、当社の持続的な経営と企業価値の向上に繋がると考えています。

今後のESG活動としては、更なる気候変動課題への対応強化として、RE100への取り組みのロードマップを作成し、自社の CO2 排出量を2030年度までに2018年度比で60%削減させることを目指します。そして、顧客や取引先などのステークホルダーの皆さまとともに脱炭素社会の実現に向け努力していく所存です。また、人権・労働環境では、私たちの考え方を当社のバリューチェーン全体にご理解いただき、人権尊重・多様性・安全衛生などに取り組みます。さらに、従業員への人財育成・エンゲージメント向上にも注力します。事業の面においても、コア事業である半導体試験事業を強化しその周辺事業領域へ社業を拡大することにより、社会のテクノロジーイノベーションを幅広く支えサステナブル経営を力強く進めてまいります。

今後とも一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

2022年9月
経営執行役員
経営企画本部長
サステナビリティ経営推進担当
三橋 靖夫