化学物質管理

化学物質管理の基本方針

アドバンテストグループでは、社内で使用する化学物質について、使用・保管における安全管理の徹底と法規制の遵守に取り組んでいます。

このために化学物質管理システムを使用しています。このシステムによって、化学物質の登録・安全審査・収支および法規制に対応した集計や、化学物質の安全な取り扱いに必須となるSDSの常時閲覧が可能となっています。
また、リスク管理、化学物質管理の強化を図るために、安全教育体制の構築や化学物質の統括管理部署による保管場所監査、指導を実施し、安全管理体制のさらなる強化に取り組んでいます。

「各国法令対応」の項に記載したように、製品・品質・安全におけるグローバルな遵法体制を構築しています。化学品(化学物質)の安全管理においても、今後、この体制を利用し、各販社での安全管理を推進する予定です。

化学物質管理のレベルアップ ~より精度の高い管理を目指して~

厳重な薬品管理

アドバンテストグループが業務で取り扱っている化学物質は、化学物質管理システムにより、容器単位で管理しています。PRTR法、毒劇法、労働安全衛生法、その他の法規制に該当する化学物質の管理レベルによって管理ランクを分け、ランクごとに異なる管理方法を設定し、柔軟な対応を図っています。
また、法令改正に伴い、2016年6月より義務化された「化学物質リスクアセスメント」については、社内で実施体制を構築し、実行しています。

薬品の危険性に応じた、より精度の高い管理方法の導入

容器単位での管理

当社グループでは従業員への化学物質教育を実施し、化学物質の取り扱いや注意点を周知徹底しています。また、危険度の低い化学物質に関しては、管理を簡素化し、市販のスプレー、接着剤などについては自主管理としています。

化学物質の管理ランク
ランク 適用条件 施錠保管 収支管理 在庫確認
4 毒性が極めて高い、社会的影響が大きいなど、取り扱いのため国などへの登録が必要な物質
【例】 麻薬、覚せい剤など
法令に
従う
3 毒性が高く、紛失の際に届出などが必要な物質
【例】 毒物、劇物など
半期
2 燃えやすい、腐食性が高い、慢性毒性があるなどの物質
【例】:有機溶剤、酸、アルカリ性物質など
半期
1 有害危険性は低いが大量に使用されるなどの理由により、管理が必要な物質
【例】 ハンダペースト、PFASなど
半期
0 有害危険性が低く、化学物質としての管理が不要なもの
【例】 一部の接着剤、グリース、潤滑剤、塗料、鉛フリーハンダ、鉛糸ハンダ、鉛棒ハンダ、スプレー類(スプレーオイル、急冷スプレー)など

このような管理にあわせ、利用後は、廃棄処理業者に依頼するなどして、適切に処理しています。

新製品でのPFAS冷却液撤廃への取り組み

アドバンテストは、「環境破壊物質を使用しない製品開発を行う」ことをESG行動計画の目標の一つに掲げています。2030年度までに冷却液のPFAS全廃をKPIとし、次世代テスターに採用する冷却液には水を使用する計画です。2022年度は、水を使用した間接冷却技術の冷却性能や耐久性の確認を行いました。この技術を適用した新製品を2024年度より出荷予定です。

PFAS冷却液供給の課題

PFAS冷却液撤廃を目指す一方で、現行機種向けのPFAS冷却液供給の課題に対応する必要があります。
そのため、以下の対策を引き続き組織横断で取り組んでいます。

  • 現在使用しているPFAS冷却液の代替品評価
  • 生産部門によるPFAS冷却液の調達リスク対策

* PFASとは、特定の化学物質の名称ではなく、「パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」(Per- and PolyFluoroAlkyl Substances)の頭文字の総称。

揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制への取り組み

VOCは、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の生成原因物質となるとされ、大量に使用する施設については、大気汚染防止法第17条の13の規定により、事業者の責務として、事業活動に伴うVOCの大気中への排出等の状況を把握するとともに、排出等を抑制するために必要な措置を講ずることが義務づけられています。

電機・電子業界は、VOCの使用量が少ない業界ですが、経済産業省からのVOC排出抑制のための自主的取組の要請に基づき、電機・電子4団体(JEMA、CIAJ、JEITA、JBMIA)として、2005年から2020年まで調査協力しました。

対象物質は、電機・電子業界では使用量の多い20物質です。当社も、使用量は少ないですが、当該物質の使用量調査および必要な報告を行っています。

VOCデータ

VOCデータ

集計範囲:アドバンテストグループ(日本国内)
* 集計対象物質は電機・電子4団体におけるVOC調査対象物質である

PRTR報告

化管法に基づき、PRTR(化学物質排出移動量届出)制度に従った報告を行政に対し行っています。

PRTRデータ

PRTRデータ

集計範囲:アドバンテストグループ(日本国内)
* 年間使用量がPRTR法の報告量未満の対象物質も含む

e-learningによる化学物質一般教育、化学物質専門教育の実施

化学物質教育資料

化学物質一般教育では、身近な化学物質でも誤った取り扱いが思わぬ事故や環境汚染を引き起こす可能性があります。それらのリスクを低減する方法を理解することを目的として、国内全従業員を対象に実施しています。
化学物質専門教育は、日常業務で化学物質を使用する社員を対象としています。危険有害性の認識を持つこと、また安全に取り扱うという2つの観点からより実践的な内容としており、毎年e-learningで実施しています。同プログラムでは、毒物・劇物、有機溶剤、特定化学物質、消防法危険物など、主要な法律により規制を受ける化学物質について、事故事例なども交え、わかりやすく解説をしています。

2022年度は、一般教育を国内全新入社員に、また専門教育は化学物質使用者684名に実施しました。

<内容>
  • 化学物質の危険性(人体への影響)
  • 作業者安全教育の重要性
  • 保護具(手袋、眼鏡、マスク等)着用の重要性
  • 法規制により要求される遵守事項
    特殊健康診断、作業主任者選定、環境測定、排気装置の点検管理、消防法危険物の届出など