サプライチェーン排出量への取り組み

アドバンテストグループは、気候変動への対応として温室効果ガスの排出量削減に向け、国内外の各拠点およびバリューチェーンにわたる、中長期的な省エネルギー対策、再生可能エネルギーへの転換などに取り組んでいます。

気候変動への取り組みについて

アドバンテストは、2020年度に「サステナブル経営推進ワーキンググループ(SMWG)」を新設しました。SMWGは、当社グループ全体、各地域、部門における気候変動問題に関わる課題を特定し、重点施策と目標を「ESG行動計画2021-2023」に取りまとめ、活動を支援、推進します。
SMWGは開示委員会、内部統制委員会など、関連する全社委員会と連携し、グループ全体のリスクおよび進捗を管理します。
「ESG行動計画2021-2023」の進捗状況は、年2回開催するESGグローバル・レビュー会議で報告・確認し、経営会議および取締役会に報告され、議論・評価されます。
当社グループおよびバリューチェーンにわたる温室効果ガス排出量削減の具体的な取り組みとして、タスクフォース1、2、3、4(以下で説明)を立ち上げ、活動をスタートしています。

サプライチェーンにおける気候変動対応の取り組み

アドバンテストグループは、自社の事業活動によるCO2排出量(Scope1+2)の削減にグループ全体で取り組んでいます。また、アドバンテストグループCO2排出量の95%以上を占める、Scope3「Category1:購入した製品・サービス」「Category11:販売した製品の使用」をCO2排出量削減の重点項目として目標を設定し、サプライチェーン排出量全体で温室効果ガス排出量の削減活動を推進しています。

(1)タスクフォース1:製品開発におけるCO2削減活動(Scope3 Category11)

ESG行動計画2021-2023

重点テーマ 目標 KPI 目標値
2021 実績 2022 2023 2030
バリューチェーン(Scope3) 1テスト当たりのCO2換算排出量(原単位)を2030年までに50%削減する 原単位削減率(2018年度比) 原単位算出
定義決定
20% 50%

当社の販売する製品を、顧客が使用することで発生するCO2は、CO2排出量全体の63%を占めています。製品が消費する電力の削減、製品の使用によるCO2排出量の削減に向けて、グローバルの開発部門と連携し、低消費電力、低CO2排出量の次世代製品開発に取り組んでいます。

(2)タスクフォース2:取引先との協働による取り組み(Scope3 Category1)

ESG行動計画2021-2023

重点テーマ 目標 KPI 目標値
2021 実績 2022 2023 2030
バリューチェーン(Scope3) 部品調達先、生産委託先の再生可能エネルギー利用を推進する 再エネを導入したサプライヤーの数 10 12 20 40 後日決定

2021年度サプライチェーンCSR調査から、再生可能エネルギーの導入状況(導入済み、導入計画など)および温室効果ガス排出量の実績調査を追加しました。
当社の主要取引先を対象としたこのCSR調査結果の分析・評価に基づいた個別のフィードバックにおいて、温室効果ガス排出量削減の必要性・重要性を取引先の皆様と共有し、理解を得ることに努めており、取引先との協働によりサプライチェーン全体での温室効果ガスの排出量削減を目指した活動を開始し、取り組んでいます。

(3)タスクフォース3:顧客との協働によるCO2削減活動

サプライチェーン全体での温室効果ガスの排出量削減に向けて、顧客との協働による取り組みを開始しています。顧客の気候変動に対する方針・目標を当社の戦略に取り込むべく連携を図り、顧客がサプライヤーに期待する気候変動への対応の具体的な内容を調査しています。

※ <Category1の算定方法>

  • 購入物品ごとの購入金額合計に、国立環境研究所が発行する「購入者価格基準のグローバル環境負荷原単位」に対応する原単位を乗じてCO2排出量を算定しています。
  • 購入金額から輸送費の切り分けが不可能であるものについて、その輸送に伴う排出量はCategory4「一次サプライヤーから当社への輸送段階のCO2排出量」ではなくCategory1排出量に含めて集計しています。

※ <Category11の算定方法>

  • 当社グループが販売する半導体試験装置のうち、SoCテスト・システムおよびメモリ・テスト・システムを対象に算定しています。
  • CO2排出量は、当該年度に販売した製品の生涯電力量合計にIEAが発行する「IEA Emissions Factors 2021」のWorldの排出係数を乗じて算定しています。
  • 生涯電力量は、製品の使用期間を10年と仮定し、製品ごとに販売台数および算定対象システムの製品仕様に基づき算定した消費電力量を乗じて算定しています。

(4)タスクフォース4:事業活動によるGHG排出量の削減(Scope1+2)

ESG行動計画2021-2023

重点テーマ 目標 KPI 目標値
2021 実績 2022 2023 2030
気候変動 (Scope1+2) 事業活動によるGHG排出量を2030年までに60%削減する(2018年度比) GHG排出量削減量・率 35% 34% 38% 40% 60%
再生可能エネルギー導入率を全社で2030年までに70%とする 再生可能エネルギー導入率 50% 54% 53% 55% 70%

アドバンテストグループの事業活動により排出されるCO2排出量の削減に対して、グループ各国、各拠点で中長期的な目標を定めて、その達成に向けた活動を進めています。
グローバル各拠点で再生可能エネルギーの導入を推進しており、欧州、米州の拠点では2020年度から再生可能エネルギー導入率100%を達成しています。日本でも2020年度から再生可能エネルギーの導入を開始し、国内の生産拠点である群馬工場では2021年度に再生可能エネルギー割合100%を達成しました。
その他の拠点に関しても、各国の再生可能エネルギー導入に関する状況を調査し、制度が整い次第、再生可能エネルギーを活用できるような対応を進めています。

CO2排出量の推移(Scope1+2)

* 排出係数等の見直しにより過年度の数値を遡及して訂正しています。

* 2021年度の国内および海外のCO2排出量の第三者保証に関しては、ESGデータ集をご参照ください。

* 2018年度数値より、エネルギー起源以外の温室効果ガス排出量を含めて算定しています。

* 社有車のCO2排出量は、2018年度までScope1排出量合計に含めず個別に開示していました。
2019年度から過去データにさかのぼり、Scope1排出量合計に含めて開示しています。

グリーン電力導入の推移

* 本数値はグリーン電力購入量とグリーン電力証書購入量の合算値です。

* 2021年度の国内および海外のグリーン電力量の第三者保証については、ESGデータ集をご参照ください。

国内拠点における気候変動への取り組み

2021年4月より群馬工場の電力を再エネ由来100%に切り替え

群馬工場で使用する電力を全て、再生可能エネルギー由来の電力に切り替えました。この再生可能エネルギーは、群馬県が保有する水力発電所を電源とする、CO2フリーかつ地産地消の電力です。電気料金の環境付加価値分(上乗せ分)は、群馬県による未来創生に関わる取り組みに活用されます。群馬工場での切り替え電力量は年間約1,180万kWhとなり、CO2排出量を年間約5,000t-CO2削減できる見込みです。これは、スギの木約36万本が1年間で吸収するCO2に相当します。(スギの木は年間14kg/本のCO2を吸収:林野庁資料より)

海外拠点における気候変動への取り組み

再生可能エネルギー活用100%の事業所

グリーン電力証書
(アメリカ)

Advantest America, Inc.(AAI)は、2012年より再生可能エネルギー導入にコミットし、2021年で10年目となります。電力使用に伴う環境への影響を低減するため、風力発電によるグリーン電力証書を購入し、2020年度は事業所で使用する電力量の100%以上を再生可能エネルギーでまかなっています。またAAIは、2013年より米国環境保護庁(EPA)の「グリーン電力パートナーシップ」(EPAが推進する再生可能エネルギー購入の取り組み)に加盟し、継続してグリーン電力の普及拡大に貢献しています。

グリーン電力証書
(ドイツ)

Advantest Europe GmbH(AEG)では、ボブリンゲン事業所、アメラングおよびミュンヘン事業所で2019年より水力発電等による再生可能エネルギー購入を開始しました。ドイツ拠点3事業所においても使用する総電力の100%を再生可能エネルギーでまかなっています。

電気自動車用充電スタンド設置の取り組み

充電スタンド(アメリカ)

Advantest America, Inc.(AAI)は、電気自動車用の充電スタンド車両10台分をサンノゼ事業所に設置し、従業員に無料で提供しています。現在従業員の約15%が利用し、年間約72tのCO2を削減しています。

充電スタンド(ドイツ)

またドイツのアメラング事業所でも、2019年に電気自動車2台分の充電スタンドを新規に設置し、ガソリン車から電気自動車に乗り換える従業員をサポートする体制を整えました。