ダイバーシティへの取り組み

会社の持続的な成長のためには、多様な従業員一人ひとりの活躍が不可欠です。そのため、アドバンテストではコア・バリューの一つとして「INCLUSION AND DIVERSITY」を掲げ、誰もが働きやすい職場環境をつくり、プライベートと仕事を両立しながら能力を最大限に発揮し続けられる働き方を浸透させていくことが重要だと考えています。その考えのもと、アドバンテストで働く一人ひとりが個性や能力を最大限に発揮し、いきいきと活躍し続けられる職場づくりや企業風土の形成に積極的に取り組んでいます。

グローバル人財の採用・活用

アドバンテストは一貫して優秀な人財のグローバルな活用に努めることで成功・成長を目指してきました。その中でも特筆すべきは、2011年のVerigy社の統合です。この統合により、従業員の半数近くが海外になるという、人員構成上の大きな変化が起きました。現在ではこの傾向がさらに強まり、約6割が海外となりました。そのため近年は、事業のグローバル化を背景に、異文化に対する深い理解と高いコミュニケーションスキルを持って、グローバルな舞台で業務を遂行できる人財のさらなる獲得を目指しています。

また、ビジネス環境のボーダーレス化に伴い、グループ各社との人財交流を通して、人財育成、組織のグローバル化を推進するため、ワールドワイドな視点での制度構築および人財の採用、育成、配置等に力を入れています。たとえば、社員にグローバルな環境下での業務遂行を経験させるため、グループ各社との人財交流を継続的に行うこととし、双方の組織における日常業務やトレーニングを通して、それぞれの持つ技術やノウハウを共有することで、個々の社員がより高度な技術と多様なビジネス環境に適応したスキルを習得する取り組みを実施しています。

グループ各社との人財交流をしやすくするため「Global Transfer Policy」を策定し、グローバルで職種に関係なく、かつ公平に処遇できる体制をとっています。また、グローバルで人財獲得競争が激化していることから、株式報酬の付与対象範囲を拡大するなど、優秀な人財のリテンションに努めています。

2023年7月現在、経営幹部である執行役員25名中13人が外国籍であり、アドバンテスト単体では、10カ国の国籍の社員が働いています。今後も、優秀な人財には国籍を問わず公平にチャンスを与え、国境を越えた人財登用、交流により、グローバル人財の育成と組織のグローバル化を推進していきます。

副業制度による多様な働き方への支援

アドバンテストは、従業員の多様なライフスタイルと個々の成長のため、多様な働き方について検討しています。その一環として、従業員のスキルアップや多種多様な人財の獲得、定着化を目的として、全従業員を対象に副業のルールを2022年11月に整備しました。

アドバンテストには特別なスキルをもった多種多様な従業員がいます。副業は、従業員がそのスキルを向上、あるいは開発する機会を得られるだけでなく、それを会社がグリップすることで社内イノベーションの創出にもつながると考えています。

一方、当然副業によって生じるリスクもあります。そのため、副業実施に当たっては許可制にしたほか、副業実施者とその所属長が、注意点を十分に理解した上で副業を開始できるよう、その両者に対してマニュアルの熟読とe-learningの受講を必須としています。

副業は、そのリスクに対して十分に配慮する必要はあるものの、従業員のスキルの開発や向上、社内イノベーションの創出など、従業員だけでなく会社にとっても魅力的なものです。時代の変化に応じてルール整備を行いつつ、有意義なものになるよう努めていきます。

女性活躍の推進

アドバンテストは、常に多様な価値観を受け入れ、人種・性別・年齢・国籍などに関係なく活躍できる企業風土づくりを推進しています。2023年3月現在で全従業員のうち女性の割合は全体の21.2%(前年度20.8%)、管理職における割合は9.0%(前年度9.6%)、アドバンテスト単体では、女性従業員割合16.1%(前年度16.5%)、女性管理職割合は3.6%(前年度3.4%)であり、多くの指標で前年度より改善は見られるものの、女性従業員の採用と管理職に占める女性比率のさらなる向上が課題です。

当社では、もともと男性比率が高い技術系の学生の採用が多く、従来の採用活動では女性が当社を受験するための動機付けができていませんでした。こうした状況を踏まえて、特に技術系の女性に対して当社の魅力を伝えることに注力し、女性向けのPRを強化しています。ウェブサイトや採用パンフレットでも女性社員の活躍を広く伝え、また、就職イベントでは、女性向けの制度やキャリアプランなどの説明を行い、アドバンテストの女性社員がどのように活躍しているかを紹介しています。
2021年度はSEMICON JAPANとYouTuberとの提携企画である“半導体業界の若手社員による座談会”に参加し、技術系の女性社員にエピソードを披露してもらいました。女性社員がリアルなエピソードを語るこの動画を見ていただくことで、特に女性の若年層に対しアドバンテストを始めとする半導体装置材料業界への興味のきっかけづくりを行いました。

アドバンテスト単体においては、2018年度から女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画で管理職に占める女性割合を産業ごとの平均値以上とする数値目標をかかげ、目標達成に向けた取り組みを推進しています。2020年11月には、女性活躍推進法に基づく「えるぼし 認定段階2(2つ星)」を取得しました。女性社員には様々なライフステージの変化があることを踏まえ、個々人の状況に応じて柔軟な働き方ができるよう家庭と仕事の両立支援制度に力を入れています。女性社員が長く働き続けられる環境整備を進めることで、女性社員の活躍の機会を後押ししています。

当社は、今後も継続して女性比率を上げる取り組みと長く働き続けられる制度の両輪を進めることで、女性管理職比率の向上にもつなげていきたいと考えています。

シニア人財の積極活用(国内)

アドバンテストは、シニア人財の活用の観点から60歳定年後の再雇用制度を導入していますが、2013年4月の高年齢者雇用安定法の改正や国の年金支給開始年齢の引き上げなどに伴い、再雇用制度を改定しました。シニア人財の雇用の安定を図るとともに、定年前の経験や配属を考慮した処遇、配属を行うことで、ベテラン社員のスキルやノウハウを積極的に活用しています。また、一人ひとりの成果が評価として賃金に反映されるしくみを設け、モチベーションを喚起することにより、賃金に見合う成果を期待しています。また、2018年度には本人の希望により短時間勤務および短日勤務制度を導入し、就業日以外の副業・兼業を行えるよう制度を整備しました。

2022年度に新たに再雇用制度を利用開始した44名のうち、短時間勤務を1名、短日勤務を5名、それぞれ利用しています。この制度の導入により、シニア人財は個々のライフスタイルに応じてフレキシブルに勤務することが可能となり、さらなるワークライフ・バランスの実現につながっていくと考えます。

実例

アドバンテストでは、2022年6月から生産本部で長年の経験を持つシニア社員が主導し、群馬工場で働く従業員向けに「テスタって何?」という講座を開催しています。この講座誕生の背景には、製品が複雑に進化する中で製品への理解が難しくなっており、また、生産台数が急増する一方でコロナ禍と部材調達の課題が重なるなど、従業員の心理的負荷が大きくなっているという事情がありました。「テスタについて知ることで、自身の業務と製品、また、製品と社会の関係を理解し、仕事にやりがいを感じてくれたら」という思いで、シニア社員が企画しました。

本講座は、少人数開催で開催し、受講者の理解度に応じた説明スタイルを採用したことによって受講者と実施者の双方向の学びの場となっています。2023年4月までに47回実施され、生産本部の半数以上にあたる237名が受講しました。

回を重ねるごとに、自身の業務と製品の関係、また、製品が社会でどのように役立っているのかを従業員が自分ごととして理解しやすいプログラムに進化しており、従業員エンゲージメントの向上にもつながっている手ごたえを感じています。

2023年度からは、社内報を通じてこの活動に共感した従業員らによって、国内外でそれぞれの業務に応じた「テスタって何?」講座が展開されつつあります。

再雇用制度利用者推移

*集計範囲:アドバンテスト単体
新たに再雇用制度を利用開始した方の人数を集計しています。
(前年からの継続利用の方は含めず)

障がい者の雇用

アドバンテストは、障がいのある方の雇用推進を目的とし、特例子会社アドバンテストグリーンを2004年9月に設立しました。同社は設立以来、「『個人の自立・社会の成長』を地域と共に」をスローガンに、障がい者の雇用促進と就労安定に努めています。

事業内容は主に、造園・清掃・正門受付・配送・パンの製造販売・リサイクル促進など、従業員が気持ちよく働ける職場環境を提供することです。地域社会や関係機関と連携しながら、障がいのあるなしに関わらず、共に働ける職場環境づくりに積極的に取り組んでいます。

また、海外グループ会社においても13名の障がい者が就労しており、意欲高く業務に取り組んでいます。

2023年3月現在、アドバンテストの障がい者雇用率は、2.91%と法定雇用率を上回る状況ですが、今後の法定雇用率見直しも念頭に積極的に雇用を促進していきます。

新規雇用への取り組み

作業⼿順の標準化や作業の可視化を推進するなど、障がいがあっても⼗分に仕事ができる環境整備を⾏なっています。様々な障がいをもった⽅が活躍できる職場であることを、特別⽀援学校等に紹介し、実習生や見学会の希望なども積極的に受入れるなど雇用につなげています。

リサイクル事業として、棄却文書などの使用済みの紙から新たな紙を生産できる製紙機を導入し、再生紙によるコピー用紙や名刺、カレンダー等を作成し提供する事業を立ち上げました。雇⽤促進と環境貢献につながる取り組みを推進しています。
製紙機によるリサイクルの詳細については、環境ページの「資源循環」から参照ください。

働きがいへの取り組み

障がいのある社員の「やりがい」や「働きがい」などのモチベーションを向上させる目標制度や表彰制度、他者評価を取り入れた「月間MVP制度」を実施するなど、お互いを尊重して思いやる風土を醸成しています。

さらに各々の障がいに応じた職場⽀援をするため、職場適⽤援助者(ジョブコーチ)や障害者職業⽣活相談員、キャリアコンサルタントなどの有資格者を配置するとともに、家族や支援機関会社との定期的な4者⾯談を実施するなど、課題の情報共有と問題の早期発⾒に努めています。

2021年度には、以上のような取り組みや長年にわたって積み重ねてきた従業員の努力が埼玉県より評価され、アドバンテストグリーンの従業員2名が優秀勤労障害者として「埼玉県雇用開発協会会長表彰」を受賞しました。

障がい者雇用率の推移

*集計範囲:アドバンテスト単体+アドバンファシリティズ+アドバンテストグリーン