ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)

当社は、企業が持続的に成長していくためには、多様な従業員が活躍できることが不可欠であると考えています。当社は、従業員の多様性を尊重し、柔軟な働き方を支援するとともに、公正な処遇を行うことにより、従業員が自分らしく、やりがいを持って働くことのできる環境の整備に努めています。また、当社は事業に関わるすべての人の人権の保護・尊重のための取り組みを進めています。

雇用の状況

アドバンテストグループは、従業員一人ひとりの人権を尊重し、人種・性別・年齢・国籍・宗教・社会的出自・身体的障がい・疾病・性的指向などによる差別を排除することを、基本方針で約束しています。また、採用や人事処遇においても、差別を排除し、グローバルに活躍できる人財の採用、育成、登用に力を入れています。

従業員数の推移は以下のとおりです。

雇用状況
2020.3末 国内 2,612人 海外 2,891人 合計 5,503人 2021.3末 国内 2,703人 海外 3,053人 合計 5,756人 2022.3末 国内 2,724人 海外 3,740人 合計 6,464人 2023.3末 国内 2,783人 海外 4,334人 合計 7,117人 2024.3末 国内 2,819人 海外 4,539人 合計 7,358人

地域別従業員数

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2021年度 2022年度 2023年度
男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 女性比率 地域別比率
国内 日本 2,220 504 2,724 2,256 527 2,783 2,289 530 2,819 18.8% 38.3%
海外 アジア 959 321 1,280 1,088 372 1,460 1,105 379 1,484 25.5% 20.2%
ヨーロッパ 763 157 920 903 202 1,105 955 220 1,175 18.7% 16.0%
北米 1,178 362 1,540 1,363 406 1,769 1,402 478 1,880 25.4% 25.6%
海外計 2,900 840 3,740 3,354 980 4,334 3,462 1077 4,539 23.7% 61.7%
合計 5,120 1,344 6,464 5,610 1,507 7,117 5,751 1,607 7,358 21.8%
  • *
    集計範囲:アドバンテストグループ

地域別管理職数

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2021年度 2022年度 2023年度
男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 女性比率 地域別比率 うち現地
採用数
現地採用者
からの登用率
国内 日本 465 18 483 465 20 485 472 20 492 4.1% 37.4% 491 99.8%
海外 アジア 225 45 270 237 45 282 233 49 282 17.4% 21.5% 273 96.8%
ヨーロッパ 214 23 237 223 25 248 239 25 264 9.5% 20.1% 261 98.9%
北米 246 36 282 251 27 278 247 29 276 10.5% 21.0% 268 97.1%
海外計 685 104 789 711 97 808 719 103 822 12.5% 62.6% 802 97.6%
合計 1,150 122 1,272 1,176 117 1,293 1,191 123 1,314 9.4% 1,293 98.4%
  • *
    集計範囲:アドバンテストグループ
  • *
    管理職の定義:10段階の資格制度におけるLevel7以上。10段階の資格制度のうち、ジョブレベル1から6を一般社員層に、ジョブレベル7から10を管理職層に適用しています。

雇用形態別従業員数

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2021年度 2022年度 2023年度
男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計
正社員 4,739 1,202 5,941 5,194 1,350 6,544 5,326 1,440 6,766
非正規社員 381 142 523 416 157 573 425 167 592
合計 5,120 1,344 6,464 5,610 1,507 7,117 5,751 1,607 7,358
  • *
    集計範囲:アドバンテストグループ

年齢別社員数

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2021年度 2022年度 2023年度
男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計
30歳未満 627 215 842 884 262 1,146 913 256 1,169
30~40歳未満 969 291 1,260 1,088 338 1,426 1,153 380 1,533
40~50歳未満 1,328 356 1,684 1,325 382 1,707 1,283 419 1,702
50~60歳未満 1,519 289 1,808 1,581 317 1,898 1,681 331 2,012
60歳以上 296 51 347 316 51 367 296 54 350
合計 4,739 1,202 5,941 5,194 1,350 6,544 5,326 1,440 6,766
  • *
    集計範囲:アドバンテストグループ(正社員のみ)

新規採用数

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2021年度 2022年度 2023年度
男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 女性比率 地域別比率
国内 日本 49 18 67 70 23 93 85 12 97 12.4% 11.4%
海外 アジア 147 45 192 209 60 269 95 27 122 22.1% 14.4%
ヨーロッパ 67 12 79 188 46 234 99 25 124 20.2% 14.6%
北米 563 181 744 421 133 554 318 188 506 37.2% 59.6%
海外計 777 238 1,015 818 239 1,057 512 240 752 31.9% 88.6%
合計 826 256 1,082 888 262 1,150 597 252 849 29.7%
  • *
    集計範囲:アドバンテストグループ(正社員のみ)

離職者数

左右にスワイプ可能です
2021年度 2022年度 2023年度
男性 女性 合計 男性 女性 合計 男性 女性 合計 女性比率 地域別比率
国内 日本 21 4 25 25 5 30 22 4 26 15.4% 4.8%
海外 アジア 89 15 104 74 8 82 65 12 77 15.6% 14.1%
ヨーロッパ 17 6 23 30 3 33 32 7 39 17.9% 7.2%
北米 144 48 192 247 78 325 284 119 403 29.5% 73.9%
海外計 250 69 319 351 89 440 381 138 519 26.6% 95.2%
合計 271 73 344 376 94 470 403 142 545 26.1%
退職率 6.39% 7.16% 6.54% 7.93% 7.82% 7.91% 7.76% 10.52% 8.33%
  • *
    集計範囲:アドバンテストグループ(正社員のみ)
  • *
    月末日の離職者について、当月の離職者数に含める方法から、翌月の離職者数に含める方法に、2019年12月から変更しました。

ダイバーシティへの取り組み

会社の持続的な成長のためには、多様な従業員一人ひとりの活躍が不可欠です。そのため、アドバンテストではコア・バリューの一つとして「INCLUSION AND DIVERSITY」を掲げ、誰もが働きやすい職場環境をつくり、プライベートと仕事を両立しながら能力を最大限に発揮し続けられる働き方を浸透させていくことが重要だと考えています。その考えのもと、アドバンテストで働く一人ひとりが個性や能力を最大限に発揮し、いきいきと活躍し続けられる職場づくりや企業風土の形成に積極的に取り組んでいます。

グローバル人財の採用・活用

アドバンテストは一貫して優秀な人財のグローバルな活用に努めることで成功・成長を目指してきました。その中でも特筆すべきは、2011年のVerigy社の統合です。この統合により、従業員の半数近くが海外になるという、人員構成上の大きな変化が起きました。現在ではこの傾向がさらに強まり、約6割が海外となりました。そのため近年は、事業のグローバル化を背景に、異文化に対する深い理解と高いコミュニケーションスキルを持って、グローバルな舞台で業務を遂行できる人財のさらなる獲得を目指しています。

また、ビジネス環境のボーダーレス化に伴い、グループ各社との人財交流を通して、人財育成、組織のグローバル化を推進するため、ワールドワイドな視点での制度構築および人財の採用、育成、配置等に力を入れています。たとえば、社員にグローバルな環境下での業務遂行を経験させるため、グループ各社との人財交流を継続的に行うこととし、双方の組織における日常業務やトレーニングを通して、それぞれの持つ技術やノウハウを共有することで、個々の社員がより高度な技術と多様なビジネス環境に適応したスキルを習得する取り組みを実施しています。

グループ各社との人財交流をしやすくするため「Global Transfer Policy」を策定し、グローバルで職種に関係なく、かつ公平に処遇できる体制をとっています。また、グローバルで人財獲得競争が激化していることから、株式報酬の付与対象範囲を拡大するなど、優秀な人財のリテンションに努めています。

2023年7月現在、経営幹部である執行役員25名中13人が外国籍であり、アドバンテスト単体では、10カ国の国籍の社員が働いています。今後も、優秀な人財には国籍を問わず公平にチャンスを与え、国境を越えた人財登用、交流により、グローバル人財の育成と組織のグローバル化を推進していきます。

副業制度による多様な働き方への支援

アドバンテストは、従業員の多様なライフスタイルと個々の成長のため、多様な働き方について検討しています。その一環として、従業員のスキルアップや多種多様な人財の獲得、定着化を目的として、全従業員を対象に副業のルールを2022年11月に整備しました。

アドバンテストには特別なスキルをもった多種多様な従業員がいます。副業は、従業員がそのスキルを向上、あるいは開発する機会を得られるだけでなく、それを会社がグリップすることで社内イノベーションの創出にもつながると考えています。

一方、当然副業によって生じるリスクもあります。そのため、副業実施に当たっては許可制にしたほか、副業実施者とその所属長が、注意点を十分に理解した上で副業を開始できるよう、その両者に対してマニュアルの熟読とe-learningの受講を必須としています。

副業は、そのリスクに対して十分に配慮する必要はあるものの、従業員のスキルの開発や向上、社内イノベーションの創出など、従業員だけでなく会社にとっても魅力的なものです。時代の変化に応じてルール整備を行いつつ、有意義なものになるよう努めていきます。

女性活躍の推進

アドバンテストは、常に多様な価値観を受け入れ、人種・性別・年齢・国籍などに関係なく活躍できる企業風土づくりを推進しています。2023年3月現在で全従業員のうち女性の割合は全体の21.2%(前年度20.8%)、管理職における割合は9.0%(前年度9.6%)、アドバンテスト単体では、女性従業員割合16.1%(前年度16.5%)、女性管理職割合は3.6%(前年度3.4%)であり、多くの指標で前年度より改善は見られるものの、女性従業員の採用と管理職に占める女性比率のさらなる向上が課題です。

当社では、もともと男性比率が高い技術系の学生の採用が多く、従来の採用活動では女性が当社を受験するための動機付けができていませんでした。こうした状況を踏まえて、特に技術系の女性に対して当社の魅力を伝えることに注力し、女性向けのPRを強化しています。ウェブサイトや採用パンフレットでも女性社員の活躍を広く伝え、また、就職イベントでは、女性向けの制度やキャリアプランなどの説明を行い、アドバンテストの女性社員がどのように活躍しているかを紹介しています。
2021年度はSEMICON JAPANとYouTuberとの提携企画である“半導体業界の若手社員による座談会”に参加し、技術系の女性社員にエピソードを披露してもらいました。女性社員がリアルなエピソードを語るこの動画を見ていただくことで、特に女性の若年層に対しアドバンテストを始めとする半導体装置材料業界への興味のきっかけづくりを行いました。

アドバンテスト単体においては、2018年度から女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画で管理職に占める女性割合を産業ごとの平均値以上とする数値目標をかかげ、目標達成に向けた取り組みを推進しています。2020年11月には、女性活躍推進法に基づく「えるぼし 認定段階2(2つ星)」を取得しました。女性社員には様々なライフステージの変化があることを踏まえ、個々人の状況に応じて柔軟な働き方ができるよう家庭と仕事の両立支援制度に力を入れています。女性社員が長く働き続けられる環境整備を進めることで、女性社員の活躍の機会を後押ししています。

当社は、今後も継続して女性比率を上げる取り組みと長く働き続けられる制度の両輪を進めることで、女性管理職比率の向上にもつなげていきたいと考えています。

シニア人財の積極活用(国内)

アドバンテストは、シニア人財の活用の観点から60歳定年後の再雇用制度を導入していますが、2013年4月の高年齢者雇用安定法の改正や国の年金支給開始年齢の引き上げなどに伴い、再雇用制度を改定しました。シニア人財の雇用の安定を図るとともに、定年前の経験や配属を考慮した処遇、配属を行うことで、ベテラン社員のスキルやノウハウを積極的に活用しています。また、一人ひとりの成果が評価として賃金に反映されるしくみを設け、モチベーションを喚起することにより、賃金に見合う成果を期待しています。また、2018年度には本人の希望により短時間勤務および短日勤務制度を導入し、就業日以外の副業・兼業を行えるよう制度を整備しました。

2022年度に新たに再雇用制度を利用開始した44名のうち、短時間勤務を1名、短日勤務を5名、それぞれ利用しています。この制度の導入により、シニア人財は個々のライフスタイルに応じてフレキシブルに勤務することが可能となり、さらなるワークライフ・バランスの実現につながっていくと考えます。

実例

アドバンテストでは、2022年6月から生産本部で長年の経験を持つシニア社員が主導し、群馬工場で働く従業員向けに「テスタって何?」という講座を開催しています。この講座誕生の背景には、製品が複雑に進化する中で製品への理解が難しくなっており、また、生産台数が急増する一方でコロナ禍と部材調達の課題が重なるなど、従業員の心理的負荷が大きくなっているという事情がありました。「テスタについて知ることで、自身の業務と製品、また、製品と社会の関係を理解し、仕事にやりがいを感じてくれたら」という思いで、シニア社員が企画しました。

本講座は、少人数開催で開催し、受講者の理解度に応じた説明スタイルを採用したことによって受講者と実施者の双方向の学びの場となっています。2023年4月までに47回実施され、生産本部の半数以上にあたる237名が受講しました。

回を重ねるごとに、自身の業務と製品の関係、また、製品が社会でどのように役立っているのかを従業員が自分ごととして理解しやすいプログラムに進化しており、従業員エンゲージメントの向上にもつながっている手ごたえを感じています。

2023年度からは、社内報を通じてこの活動に共感した従業員らによって、国内外でそれぞれの業務に応じた「テスタって何?」講座が展開されつつあります。

再雇用制度利用者推移
*集計範囲:アドバンテスト単体 新たに再雇用制度を利用開始した方の人数を集計しています。 (前年からの継続利用の方は含めず)
2018年度 33人 2019年度 54人 2020年度 60人 2021年度 74人 2022年度 44人

障がい者の雇用

アドバンテストは、障がいのある方の雇用推進を目的とし、特例子会社アドバンテストグリーンを2004年9月に設立しました。同社は設立以来、「『個人の自立・社会の成長』を地域と共に」をスローガンに、障がい者の雇用促進と就労安定に努めています。

事業内容は主に、造園・清掃・正門受付・配送・パンの製造販売・リサイクル促進など、従業員が気持ちよく働ける職場環境を提供することです。地域社会や関係機関と連携しながら、障がいのあるなしに関わらず、共に働ける職場環境づくりに積極的に取り組んでいます。

また、海外グループ会社においても13名の障がい者が就労しており、意欲高く業務に取り組んでいます。

2023年3月現在、アドバンテストの障がい者雇用率は、2.91%と法定雇用率を上回る状況ですが、今後の法定雇用率見直しも念頭に積極的に雇用を促進していきます。

新規雇用への取り組み

作業手順の標準化や作業の可視化を推進するなど、障がいがあっても十分に仕事ができる環境整備を行なっています。様々な障がいをもった方が活躍できる職場であることを、特別支援学校等に紹介し、実習生や見学会の希望なども積極的に受入れるなど雇用につなげています。

リサイクル事業として、棄却文書などの使用済みの紙から新たな紙を生産できる製紙機を導入し、再生紙によるコピー用紙や名刺、カレンダー等を作成し提供する事業を立ち上げました。雇用促進と環境貢献につながる取り組みを推進しています。
製紙機によるリサイクルの詳細については、環境ページの「資源循環」から参照ください。

働きがいへの取り組み

障がいのある社員の「やりがい」や「働きがい」などのモチベーションを向上させる目標制度や表彰制度、他者評価を取り入れた「月間MVP制度」を実施するなど、お互いを尊重して思いやる風土を醸成しています。

さらに各々の障がいに応じた職場支援をするため、職場適用援助者(ジョブコーチ)や障害者職業生活相談員、キャリアコンサルタントなどの有資格者を配置するとともに、家族や支援機関会社との定期的な4者面談を実施するなど、課題の情報共有と問題の早期発見に努めています。

2021年度には、以上のような取り組みや長年にわたって積み重ねてきた従業員の努力が埼玉県より評価され、アドバンテストグリーンの従業員2名が優秀勤労障害者として「埼玉県雇用開発協会会長表彰」を受賞しました。

障がい者雇用率の推移
*集計範囲:アドバンテスト単体+アドバンファシリティズ+アドバンテストグリーン
2018年度 全国の民間企業 2.05% 法定雇用率 2.2% ATグループ障がい者雇用率 2.48% 2019年度 全国の民間企業 2.11% 法定雇用率 2.2% ATグループ障がい者雇用率 2.66% 2020年度 全国の民間企業 2.15% 法定雇用率 2.2% ATグループ障がい者雇用率 2.79% 2021年度 全国の民間企業 2.20% 法定雇用率 2.3% ATグループ障がい者雇用率 2.83% 2022年度 全国の民間企業 2.25% 法定雇用率 2.3% ATグループ障がい者雇用率 2.91%

人権方針

基本的な考え方

アドバンテストは、2021年7月に「アドバンテストグループ人権方針」を策定しました。この方針では、国際人権章典、国連グローバル・コンパクト(UNGC)10原則、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等に記された人権および環境権の尊重を表明しています。

バリューチェーンを通じて人権尊重ができるよう、ステークホルダーとのエンゲージメントも重視しています。人権方針の内容は、調達方針ならびにサプライチェーンCSR推進ガイドブックにも反映され、自社の事業により人権に影響を与えうる可能性のあるステークホルダーには、自社だけでなく調達パートナーにまで配慮するよう依頼しています。

アドバンテストグループ人権方針

アドバンテストグループは、「先端技術を先端で支える」ことで「安全・安心・心地よい」社会の実現に貢献しています。私たちは、グローバルに事業活動を行う中で影響を受けるすべての人の人権が守られなければならないことを認識しています。その考え方はアドバンテストグループの「The Advantest Way」で明文化されており、この「アドバンテストグループ人権方針」(以降、本方針)は、「The Advantest Way」に基づき、アドバンテストグループの人権尊重の責任を表明するものです。

  1. (1)
    国際的規範の尊重
    私たちは、「世界人権宣言」「国連グローバル・コンパクト10原則」「国際人権章典」「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の人権に関する国際規範を支持、尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた人権尊重の取り組みを推進していきます。
  2. (2)
    人権尊重の責任
    私たちは、事業活動において人権に対する負の影響が生じた場合や、負の影響を助長したことが明らかになった場合には、是正に向けて適切な救済措置と防止・軽減措置を行うことで人権尊重に対する責任を果たします。
  3. (3)
    適用の範囲
    本方針は、アドバンテストグループの役員と全従業員(正社員・契約社員・派遣社員を含むすべての社員)に対し適用されます。また、サプライヤー、その委託を受けて活動するすべての事業者、その他のビジネスパートナーおよび関係者による人権への負の影響が、アドバンテストグループの事業活動に直接つながっている場合は、相手方との対話と協議に基づいて、人権を尊重し侵害をしないように対処を求めます。
  4. (4)
    適用法令の遵守
    アドバンテストグループが事業活動を行う国または地域における法と規則を遵守するとともに、法令と国際規範に乖離がある国や地域においては、それぞれの国と地域の法令規則に可能な限り配慮をしつつ、人権に関する国際規範を尊重する取り組みを推進します。
  5. (5)
    人権デュー・ディリジェンス
    私たちは、自らの事業活動による顕在的または潜在的な人権への負の影響に対処するため、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続的に実施していきます。
  6. (6)
    教育
    私たちは、本方針と人権デュー・ディリジェンスが理解され、自らの事業活動の全般に渡って効果的に実行されるよう、役員と全従業員に適切な教育の推進と人権に対する意識の啓発を継続的に実施していきます。
  7. (7)
    情報の開示
    私たちは、本方針に基づく人権尊重の取り組みの状況について、サステナビリティ・ウェブサイトや統合報告書などにて報告していきます。
  8. (8)
    対話・協議
    人権に関する当面の重点課題を、別に定める「アドバンテストグループ人権に関する重点課題」として、本方針に基づいて適切に実施していきます。なお、当該重点課題については、社会や事業の動向などの変化により適宜見直す必要があることを理解しています。

2021年7月1日制定

職場における取り組み

アドバンテストでは、企業倫理相談室、人権擁護・人事苦情処理委員会を中心に、人権問題の啓発、施策、差別的取り扱いに関する相談および苦情対応に努めています。
また、取引先に対しては、「アドバンテストサプライチェーンCSR推進ガイドブック」を共有し、強制労働や児童労働、差別の禁止など、人権への配慮も徹底するよう周知を図っています。

人権を尊重した職場づくり

アドバンテストは、グローバルに事業展開するに当たって、人権への配慮が重要な要素であると考えています。各国・地域の法令等を踏まえ、「世界人権宣言」等の人権に関する国際規範を支持し、基本的人権を尊重します。
また、国際連合が提唱する世界的なイニシアチブである「国連グローバル・コンパクト」に署名するとともに、日本におけるローカルネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入し、国連が提唱する、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野で企業が遵守すべき普遍的原則「国連グローバル・コンパクト10原則」を支持し、各分野における取り組みを推進しています。
「The Advantest Way」の中で、人種・性別・年齢・国籍・宗教・社会的出自・身体的障害・疾病・性的指向などによる差別を禁止する、人権擁護に関する方針を定めています。また、人権と差別マニュアル、ハラスメント防止ガイドを策定し、人権の保護・尊重を推進しています。

2013年度からは、アドバンテストグループ全従業員に対し「The Advantest Way」のe-learningを実施しています。2023年度も海外を含めアドバンテストグループ全社員が受講を完了しています。

結社の自由と労使間の対話

アドバンテストは、「結社の自由」「団体交渉権」を基本的人権のひとつとして尊重しています。労働組合の結成を認めている国や地域においては、労働協約において、組合が団結権・団体交渉権・争議権を保有することを認めています。また、法令や労働慣行により労働組合の結成が認められていない国、地域においても、「結社の自由」「団体交渉権」の目的である労使間対話を通じて、健全な関係の構築と問題解決に努めています。

アドバンテストおよび国内連結子会社では、アドバンテスト労働組合等が組織されています。2023年度、アドバンテストでは80.2%の従業員が労働組合に加入しています。すべての組合とも労使協議を真摯に実施しています。

また、アドバンテスト労働組合との労働協約書において、安全衛生および苦情処理等について記載しており、各事業所の安全衛生委員会の運営、人権問題・人事苦情処理等につき、双方が協力して対応しています。

人権問題に関する報告・相談窓口(内部通報窓口)の設置

アドバンテストは、グローバル共通の企業倫理ヘルプラインを設置し、職場だけでは解決が難しい人権についての問題や相談がある場合に、企業倫理相談室に報告・相談できる制度を設けています。匿名での報告・相談が可能な仕組みを取り入れており、また16言語での報告を受け付けています。スマートフォンなどのモバイル端末から報告・相談できるよう、QRコードを記載したポスターも各事業所に掲示しています。報告・相談事項は企業倫理相談室が中心となって対応し、報告者・相談者が不利益な扱いや報復行為を受けることがないよう、万全な注意を払っています。また、ヘルプラインの相談・報告をより行いやすくするため、外部の法律事務所(弁護士)への通報窓口EthicsPointも設けています。なお、これらのヘルプラインは海外からも利用が可能であり、グローバルイントラネットのトップページにリンクを貼っています。

また、国内においては、労働組合とともに人権擁護・人事苦情処理委員会も設置し、国内の人権問題についての相談を受け付けています。2023年度のヘルプラインおよび人権擁護・人事苦情処理委員会で受け付けたハラスメント関係の相談は3件でした。相談者のプライバシーに十分配慮したうえで人権擁護・人事苦情処理委員会が適切な対応を実施し、迅速な解決を図っています。

当社は、この活動を通して、従業員一人ひとりがお互いの人権を尊重し、安心して働くことのできる職場づくりに努めています。

国内での対応イメージ

人権擁護・人事苦情処理委員会に届いた相談・苦情に対しては、相談者の不利益にならないよう、相談者本人の意向や事案の内容により柔軟に配慮をしながら対応しています。

本人(または所属長や第三者)から人権擁護・人事苦情処理委員会に対して相談・苦情が届いたら、内容に応じて委員会メンバーの中から主担当者を決めます。その後、委員会メンバーと労働組合による「本人(被害者)」「相手方(加害者)」「周辺」のヒアリングを行います。事実関係の状況に応じて以下のような対処をしています。

左右にスワイプ可能です
事実が確認された場合 会社の対応を検討したうえで以下のような対処を実施。
  • 雇用管理上の措置(人事異動、不利益回復、メンタルケア、当事者間の関係改善支援等)
  • 相談者への説明
  • 就業規則に基づく加害者等への処分
  • 職場環境の改善と再発防止策の徹底
事実が確認できない場合
  • 職場環境の見直しと防止策の徹底
  • 相談者への説明
  • 当事者間の関係改善の支援
  • 相談・苦情への対応の流れ
本人・所属長・第三者からの相談・苦情を相談・苦情窓口(人権擁護・人事苦情処理委員会)で受ける。受けた相談・苦情について、事実関係の確認(「本人」ヒアリング、「相手」ヒアリング、「周辺」ヒアリング)をおこなう。事実が確認された場合は会社の対応を検討する。具体的には、雇用管理上の措置(人事異動、不利益回復、メンタルケア、当事者間の関係改善支援等)、相談者への説明、就業規則に基づく加害者への処分、職場環境の改善と再発防止策の徹底など。事実が確認できない場合は、職場環境の見直しと防止策の徹底、相談者へ説明、当事者間の関係改善の支援などを実施する。

ハラスメントの防止

ハラスメントについては、1999年7月より防止ガイドを作成し、ハラスメントの防止に努めてきました。法改正に基づき妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントやパワーハラスメントについても追加し、改訂を行いました。従業員がいつでも参照できるよう、イントラネットに掲載しています。

主な内容は、以下のとおりです。

  1. 1.
    昨今のハラスメントに関する動向について
  2. 2.
    職場におけるセクハラ
  3. 3.
    職場におけるパワハラ
  4. 4.
    職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント
  5. 5.
    ハラスメントの影響
  6. 6.
    法律や規則の観点から見たハラスメント
  7. 7.
    ハラスメントの防止対策
  8. 8.
    ハラスメントを受けた場合の対応

上記については、各自でセルフチェックができるように工夫を凝らしています。

ハラスメント防止について従業員へ理解を促すため、2006年4月より新入社員研修と新任Manager研修において、ハラスメント防止など人権をテーマとした教育を毎年行っています。また、2019~2020年度には全管理職向けにハラスメント研修を実施しました。

公正な評価・処遇

業績評価やキャリア開発に関しては、グローバル共通の制度となっています。期初に立てた目標に対し、期中に上司と適宜コミュニケーションを図るとともに、年度末の考課面談を通じて行っています。この面談は、正社員だけでなく、一部の契約・嘱託社員にも実施しています。

報酬については、公平性を重視するだけでなく、将来の成長を支える優秀な人財のリテンションにも取り組んでいます。

ARMS人事制度

アドバンテストは、海外売上高比率が90%以上、全従業員のうち6割以上が海外関係会社の従業員で占めており、 グローバルカンパニーとして事業を推進しています。この体制を踏まえ、当社は2012年4月、世界の複数拠点による協業や人事交流・異動などを円滑に進めていくためのグローバルに統一された人事制度、「ARMS (Advantest Resource Management System)」を導入しました。

グローバル人事制度

世界共通の10段階の資格制度を採用したGlobal Job Lever Frameworkを軸に、6つの要素で構成されています。 Organization Job Design。グローバルでの組織形成や配置を容易化します Recruiting。優秀な人員を世界から集めます Global Bonus Policy。グローバルに同じポリシーと目標を設定します Career Development。職務要件の共通化によりキャリア形成を容易にします Performance Review。グローバルに統一された資格制度と考課制度が公正さと信頼関係を確かなものにします Compensation and Reward。資格と報酬の関連付けをグローバルで統一

「ARMS」では、これまで各国の事業会社が独自に定めていた資格制度を廃して、新たに世界共通の10段階の資格制度を整備しました。この制度では、ジョブレベル1から6までを一般社員層に、ジョブレベル7から10までを管理職層に適用しています。管理職層については、予算管理や部下の考課・労務管理などを担当するマネージャーと、業務の取りまとめや業務遂行に専念するマネージャーの2系統を制度化しました。部下をもつライン長を前者、それ以外のスペシャリストを後者に位置づけ、複線型の資格制度とし、多様な人財をマネージャーとして処遇できる体制としています。

また、基本給や賞与などの給与体系についても世界共通のルールを適用しています。例えば、従来のアドバンテストでは、賞与は所属する各国法人の業績を反映する仕組みが主でしたが、新制度では連結決算の損益を反映する仕組みに変更しました。さらに、人事考課についても2012年度から新しい制度を適用しています。これらグローバル共通の新制度によって、社員は世界のどの組織に所属していても同一基準の評価・処遇が適用されており、すべての社員が評価、育成等に関する面談を年1回以上受けています。

本グローバル人事制度導入後、日本からの海外出向者の増加や海外関係会社間の人財交流などが図られ、組織の活性化、企業業績の伸長に寄与しています。

グローバル・ジョブレベル & タイトル

Job Level 1 Entry Job Level 2 Career Job Level 3 Associate Job Level 4 Developing Job Level 5 Senior Job Level 6 Expert Job Level 7以降の管理職層はPeple ManagerとFunctional Managerに分かれます。Peple Managerは Senior Manager, Functional Manager はSenior Consulting Manager Job Level 8 Peple Managerは Director,  Functional Managerは Consulting Director Job Level 9 Peple Managerは Senior Director,  Functional Managerは Principal Job Level 10 Peple Managerは VP(or SVP),  Functional Managerは Fellow

一方、就業時間や在宅勤務制度の有無など詳細な労務管理については、世界各国の法令や現地の労働習慣などに応じて個別に運用していく仕組みです。

2014年度以降、グローバルな人事データベースを整備し、グローバル規模でのプロジェクトチームの組成やスムーズな人事異動などに有効活用しています。また、2015年度の人事考課よりグローバルな人事考課システムを導入し、利用を開始しました。

今後も、グローバルな人財開発システムの整備や、多様な人財の積極的な雇用・登用によるダイバーシティの推進、各国の事業戦略などに即した人財採用戦略の策定や、グループの多様な人財がそれぞれの能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に積極的に取り組んでいきます。

コア・バリュー視点を考課システムにも反映

2019年にコア・バリュー「INTEGRITY」を導入した際には人事考課制度の評価シートに加えることで、期中の行動を振り返るきっかけの1つとしています。

具体的には、"INTEGRITY"に込めた9つの価値観(Innovation/Number One/Trust/Empowerment/Global/Respect/Inclusion&Diversity/Teamwork/Yes)を評価シートの行動考課として自身の行動を項目ごとに記載できる形式としています。評価面談時に上司との対話を促し、面談後に上司がコメントを記載してフィードバックしています。

コア・バリューを研修等によって頭で理解するだけでなく、考課時に自身の行動と結びつけ振り返ることによって、従業員一人ひとりの変化を促し、課題に柔軟に対応できる組織にしていきたいと考えています。

新しい管理職候補育成・管理職登用制度を導入(日本)

アドバンテストでは、2023年10月に新しい管理職候補育成・管理職登用制度であるMP-1(Management Program 1)を導入しました。これまで、管理職への登用については、本部長推薦に基づく役員面接で行ってきましたが、新任管理職の平均年齢上昇や早期登用の難しさが課題でした。また、管理職を目指す従業員の育成メニューも十分とは言えず、グローバル人財の育成が急務でした。そこで、年齢、性別を問わずやる気と能力のある従業員に管理職にチャレンジする機会を提供するとともに、自律的なキャリア形成を促し、管理職として活躍できるよう育成を行い、当社グループの持続的成長に貢献できる人財輩出を目指します。

MP-1概要

  • 完全挙手制
    受講者は推薦ではなく、本人の挙手(応募)に基づき、選考の上、決定されます。
  • 多様な育成メニュー
    リーダーシップ、マネジメント、コーチング、語学、論文、グループ研修、役員面接など12の科目全てを履修し合格した者がMP-1修了者となります。
  • MP-1修了が管理職登用の条件に
    移行期間後は、新たに管理職となるには、MP-1を修了していることが条件となります。MP-1修了者は、管理職の空きポジションが生じた際に、社内公募または人事異動により管理職となります。
  • 若手にも管理職登用の可能性
    新卒入社の場合、入社4年目から応募が可能であり、20代で管理職に登用される可能性があります。

インセンティブおよびリテンション

当社では2002年よりストック・オプションを役員、国内外幹部従業員向けの株式報酬として導入しました。この株式報酬制度をインセンティブおよびリテンションとしてより機能するよう、いくつかの変遷を経て、2021年度の第2期中期経営計画の策定とあわせて社員がグローバルに当社の株式を保有できる枠組みを構築しています。

海外では人財獲得競争が激化しています。ワールドクラスのエンジニアを確保するため、当社では報酬の付与対象範囲を拡大し、3~5年の譲渡制限期間付株式報酬としてのRetention RSUを導入しています。リテンション報酬の範囲や規模については継続して検討を行っています。

適切な給与水準設定、「INTEGRITY」の浸透を通じた快適で働き甲斐のある職場づくりに加えて、こうしたインセンティブおよびリテンション施策が離職率の改善にもつながると考えています。

株式報酬制度の変遷

2002年から2017年度は、役員と幹部社員に ストック・オプションを導入 第1期中期経営計画期間の2018年から2020年度は、幹部社員と一部役員に対して株式交付信託に用いた業績連動型株式報酬に変更 第2期中期経営計画期間の2021年度からは、 一部上級役員に対してパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)を導入。その他役員と幹部社員に対して 国内は譲渡制限付株式報酬(RS) 、海外は事後交付型譲渡制限付株式ユニット(RSU) を導入。2022年度からはRSUの導入範囲を海外キーエンジニアに拡大。

年金制度

アドバンテスト(国内)は、退職金の制度としてポイント制を導入しています。また、退職金制度の一部として、基金型の確定給付型企業年金を導入し、一定の条件のもと退職金を年金として受け取ることができます。

2018年度に確定給付型企業年金制度の一部を確定拠出型企業年金制度に変更し、ポイント制の退職金制度とは別に、確定拠出年金制度をスタートしました。

その結果、退職金は会社支給の退職一時金と、勤続年数により年金化が可能な基金支給部分と、確定拠出年金制度の3本立てとなっています。

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