2025年10月28日更新
1.中長期経営方針「グランドデザイン」
当社グループは、経営理念である「先端技術を先端で支える」を体現する会社であり続けるため、長期的にどうありたいか、そしてそのために何をなすべきかなどの当社グループの進むべき方向性を、2018年より中長期経営方針「グランドデザイン」として定めています。
2018年版の「グランドデザイン」のもとでは、第1期と第2期の二つの中期経営計画を推進し、当初の構想を超えた規模とスピードで当社グループの市場シェア向上、業容拡大、収益性改善を実現しました。
そして2024年、当社グループをさらに発展させるため、また当社グループが顧客や社会にとって価値ある存在であり続けるため、「グランドデザイン」をそれまでの経営・事業体制の変化や当時最新の長期事業環境見通しを踏まえた内容へ改定しました。
当社グループは今後、この改定版「グランドデザイン」に則り、ステークホルダーへの提供価値の拡大と経営基盤の強化に努めてまいります。
ビジョン・ステートメント
半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーへ
(Be the most trusted and valued test solution company in the semiconductor value chain)
当社グループは、提供価値の拡大を通じ、すべてのステークホルダーから半導体バリューチェーンで最も信頼され、最も価値あるテスト・ソリューション・カンパニーとなることを目指します。
経営における長期的目標
半導体は、サステナブルな社会の実現や多様な産業の発展に向けて今後も不可欠な存在とされています。そして現在の当社グループにおけるほぼすべての事業は、より性能に優れた半導体の実現と普及に深く結びつくものとなっています。このことから当社グループが経営理念に基づき、先端の技術開発を通じてより良い半導体の開発と普及に寄与していくことは、自社の持続的な成長のみならず、さらなる「安全・安心・心地よい」社会実現に向けても直接的に貢献する行為であり続けると考えます。
今後当社グループは、テストの複雑化への対応などを含めた顧客課題の解決を軸としながらサステナブルな社会実現につながる取り組みを推進し、それを通じて各ステークホルダーに対して提供する経済的・社会的価値を多面的かつバランスよく拡大することを、経営における長期的な目標とします。
2.第3期中期経営計画(MTP3、2024~2026年度)の概要
半導体テスト関連市場は、短期的なダウンサイクルを織り込みつつも、中長期的に成長を続けると見込んでいます。また半導体市場の拡大に加え、半導体の複雑性への対応が業界における構造課題となる中で、当社グループの事業機会は中長期的に拡大するものと考えています。
そうした環境下、当社グループは、改定した「グランドデザイン」に則り策定した第3期中期経営計画を推進することで、中長期的なステークホルダーへの提供価値拡大に取り組みます。
経営指標
MTP3期間における当社グループは、4つの戦略の推進を通じて収益拡大、収益性改善、資本効率向上を図ることで、企業価値の向上に取り組んでいます。これに沿い、MTP3において重視する経営指標を、売上高、営業利益率、当期利益、投下資本利益率 (ROIC)、基本的1株当たり当期利益(EPS)とし、これらの向上に努めています。
MTP3の初年度となった2024年度は、HPC/AI半導体に対する旺盛なテスト需要を背景に、当社グループは過去最高の業績を収めました。2025年度においてもHPC/AI半導体の試験ソリューションに対する力強い需要が継続していることから、過去最高業績の連続更新を予想しています。これらと、現時点で想定しうる2026年度の事業環境見通しとを総合的に勘案し、2025年10月にMTP3の経営指標を下記の内容に修正しました。なお各指標の進捗を中長期視点で評価するため、下記の経営指標は市場変動の影響を平準化できる3か年平均の値を用いています。
| 2024~2026年度(平均) | ||
| 前回公表値※1(2024年6月) | 今回修正値※1, 2(2025年10月) | |
| 売上高 | 5,600~7,000億円 | 8,350~9,300億円 |
| 営業利益率 | 22~28% | 33~36% |
| 当期利益 | 930~1,470億円 | 2,070~2,480億円 |
| 投下資本利益率※3(ROIC) | 18~28% | 34~39% |
| 基本的1株当たり当期利益(EPS) | 127~202円 | 284~341円 |
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前回公表時の前提とした為替レート、および今回の修正において2025年度第3四半期~第4四半期と2026年度の業績予想の前提とした為替レートは1米ドル=140円、1ユーロ=155円。
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2024年度の為替レート実績は1米ドル=153円、1ユーロ=164円。2025年度第1四半期の実績は1米ドル=146円、1ユーロ=162円。2025年度第2四半期の実績は1米ドル=146円、1ユーロ=155円。
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投下資本利益率:NOPAT÷投下資本(期首・期末平均)。NOPAT:営業利益×(1-税負担率25%)。投下資本:借入金+社債+資本合計(リース負債含まず)
戦略
1. Outpace the growth in our core market (コア市場の成長率を上回る成長実現)
当社グループの今後のコア市場においては、半導体の生産量増加、半導体の高性能化、そして半導体の複雑性進行への対応が重要な成長機会となると想定しています。これに対しては、個々のテスト・ソリューションの性能向上に加え、顧客に“Automation of Test”、すなわち半導体テストの効率性向上をもたらす新たな価値を、当社グループが擁する多様な製品・ソリューション群の有機的な結合や社外パートナーとの連携などを通じて創造します。これらにより、市場成長率を上回る事業成長を引き続き実現することを目指します。
2. Expand adjacently / new businesses (近縁市場・新規事業領域への展開)
半導体の高性能化や複雑性が進行する中では、より広く、統合されたテスト・ソリューションが望まれます。当社グループはこれまでもシステムレベルテストやテスト周辺機器への事業展開を進めてきましたが、今後もこのアプローチを継続することで顧客への提供価値をさらに拡大します。具体的には、当社製品のインストールベースを活用したフィールド・サービスやAdvantest Cloud Solutions™の販促に取り組むほか、Applied Research & Venture Teamによる事業機会創生にも挑戦します。
3. Drive operational excellence (オペレーショナル・エクセレンスへの取り組みを推進)
当社グループは、技術、ノウハウ、リソースの活用を部門横断的に進めることで、半導体業界におけるテスト課題を解決していきます。また、当社グループのステークホルダーすべてにとって価値がある企業となるためには、製品や技術面の優秀さだけではなく、あらゆるオペレーションの効率性と効果性を高めていく必要があると認識しています。それに向け、DXを通じた社内オペレーションの迅速化と省人化、強靭なサプライチェーンの構築、有能人財の登用や社員教育の拡充などによる人的資本強化、AIやデータ・アナリティクスを活用した社内生産性向上などに取り組みます。
4. Enhance sustainability (サステナビリティの取り組み強化)
気候変動や人権問題をはじめとするサステナビリティ課題に対する能動的かつ積極的なアクション、法令遵守や企業倫理の徹底を含めた責任ある事業活動の遂行、リスクマネジメントの強化やコーポレート・ガバナンスの高度化などを通じて企業価値向上基盤をさらに強化するとともに、各ステークホルダーからより厚い信頼を得られるよう努めます。またサステナビリティに関する取り組みの推進にあたっては、その根源となるものは企業内の共通カルチャーや価値観であることから、これらの醸成と浸透にも努めます。