真皮内血管網の3次元位置を高精度かつ非侵襲で画像化 光超音波+超音波による3Dイメージングに成功

2017/06/22 製品情報

株式会社アドバンテスト(本社:東京都千代田区 社長:吉田 芳明)は、このたび、光超音波と超音波を組み合わせて、人の皮膚内部(真皮)にある血管網を、高分解能で3次元イメージングすることに成功しました。光超音波と超音波の組み合わせにより、皮膚の断層画像が見えるだけでなく、真皮のどの深さに血管があるかが精緻に特定できるようになりました。また、表皮の構造(キメ、毛穴など)も画像化に成功。医療や美容をはじめ幅広い分野でのin vivo測定(生体を非侵襲で測定)の可能性を開きます。

  • 人の皮膚深さ1.5 mmの3D画像(部位:前腕部)。超音波画像(白黒)と光超音波画像(赤)を組み合わせ、皮膚の構造と血管の分布を一つのイメージに合成し、深さ情報と共に画像化。

  • 人の皮膚の断面図。今回の新技術により、皮膚のどの深さに血管が位置するかが特定可能。


医療分野で広く使われている超音波イメージング(エコー)は、生体組織の硬さの違いを識別して生体の構造を非侵襲で画像化できますが、皮膚内の血管など、生体浅部にあり硬さの違いが少ないものは画像化が困難です。一方、新たなイメージング手法として世界中で研究開発が進む光超音波イメージング*は、血管など光吸収特性を持つ特定物質を画像化できるものの、光を吸収しない皮膚表面の凹凸や皮膚内各層の境界、毛穴などは画像化できないため、測定位置や内部構造などが分かりにくい欠点があります。

アドバンテストは2010年より生体イメージングの研究開発に取り組み、2015年には皮膚表面から3 mmまでの深さの血管網を非侵襲で画像化できる光超音波顕微鏡「Hadatomo™」を発売しました。今回の新技術では、中心周波数50 MHzの高周波プローブを使用して、人の前腕部での高解像度3Dイメージングに成功しました。当社が長年培った計測技術を応用し、光超音波信号の受信と超音波の送受信、および3Dイメージングのためのスキャン動作をタイムロスなく同期させ、高速での撮像が可能です。光超音波イメージングと超音波イメージングを一つのシステムで画像化することにより、血管網が皮膚内のどの深さに位置しているかを高精度かつ非侵襲で特定可能になりました。

(*) 光超音波イメージング:
光の吸収特性のある物質にパルス光を照射すると、光を吸収した物質が断熱膨張し超音波が発生する。その超音波をセンシングし、吸収物質を正確な深さ情報と共に高コントラストで画像化する技術。当社の光超音波顕微鏡「Hadatomo™」は、血中のヘモグロビンの光吸収特性に合わせた波長の光源を使用することで、血管網の画像化が可能。

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