イノベーションへの取り組み

アドバンテストは、より深く、より幅広く、統合したテスト・計測ソリューションにより、半導体バリューチェーンへの貢献はもちろん、半導体バリューチェーン外でも新しいビジネスを開拓しています。計測を通じた社会への価値提供がアドバンテストの強みであり、この計測技術を磨き続けていきます。

アドバンテストでは、すべての製品に対してグリーン製品となるよう製品環境アセスメントを実施しています。また、CO2削減の観点ではESG行動計画2021-2023に削減目標を掲げ、技術の追求とサステナブルな社会の実現を両立させます。

「ACS Nexus」によるリアルタイムのテスト・データ解析で、高効率な半導体製造工程の実現

アドバンテストは、お客様の半導体をつくる工程で生成されたデータと、半導体テスト時のデータを統合して分析することで新たな価値を創造する、アドバンテスト・クラウド・ソリューションズ(ACS)を推進しています。
新たに開発した「ACS Nexus」では、テスト・データ解析を行うお客さまやパートナー企業向けにリアルタイムのデータストリーミングを実現しました。
半導体設計向けEDAソフトウェア大手の解析ソフトウェアと「ACE Nexus」を合わせて使用することで、リアルタイムデータ解析が可能になります。
またデータ収集機能が拡張されたことで、テスト結果の分析能力が飛躍的に向上しました。

アドバンテストは、「先端技術を先端で支える」という企業理念のもと、進展著しいデジタル社会のインフラストラクチャーである半導体の品質や信頼性の向上を通じて、社会の持続可能な発展に寄与しています。
「ACS Nexus」を使用することで、お客さまが目標とする品質と高い歩留まりを早期に達成することが可能となります。高効率な半導体製造工程の実現を通して脱炭素社会とデジタル社会の進展に貢献します。

CMOSイメージ・センサの欠陥を高速検出し、生産効率の大幅な改善に貢献

IP Engine 4

IP Engine 4

携帯電話や自動車に搭載されるカメラとして使用される、CMOSイメージ・センサを測定するテスタであるT2000イメージ・センサ・ソリューション用に、新たな画像処理エンジン「IP Engine 4」(Image Processing Engine 4)を開発しました。
最先端の高解像度CMOSイメージ・センサの出力データの欠陥を、IP Engine 4が高速検出することで、お客さまの半導体テスト工程における生産効率の大幅な改善と、CMOSイメージ・センサの用途拡大に貢献します。

スマートフォン1台あたりに搭載されるカメラの数が増えると共に、カメラ1台あたりの画素数も増加しています。これにより最新のスマートフォンに搭載されているCMOSイメージ・センサの画素数は1億画素以上となっています。
また安全性能を高めるため多くの自動車に多数のCMOSイメージ・センサが搭載され、自動車の眼として危険状況回避に役立っています。

IP Engine 4は大量の画像データを高速処理し、テスト時間とコストを削減します。画像キャプチャ・モジュール「4.8GICAP」と合わせて使用することにより、最先端モバイル向けCMOSイメージ・センサを実動作レートで多数個同時にテストすることができます。
更に、イメージ・プロセッシング・アクセラレータにより、2億画素以上のCMOSイメージ・センサに対してもテスト時間とコストを低減した最適なテスト環境を提供します。

IP Engine 4により高効率なテストソリューションをお客さまに提供するとともに、CMOSイメージ・センサの車載用途拡大に貢献し、安全・安心・心地よい社会の実現を目指します。

Link Scale™による新たなテスト手法の確立

Link Scale USB

Link Scale USB

Link Scale PCIe

Link Scale PCIe

今日の複雑なハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)デバイス、グラフィックス・プロセッサ、AIアクセラレータの多くは、USBやPCIeなどの高速デジタル・インタフェースを内蔵しています。
アドバンテストのV93000プラットフォームの新しい提案である「Link Scale™」は、これらのインタフェースを使用して、ファンクション・テストやスキャン・テストのデータを高速伝送し、テスト・カバレッジとスループットの両方を高めます。
高速インタフェースでスループットが向上した結果、従来と同等のテスト時間でテスト項目を大きく増やし、先端プロセスによる複雑なデバイスの厳しい品質要件を満たすことができます。

Link Scale™は、主要EDAツールが対応しているポータブル・スティミュラス標準に準拠することで、設計段階のテスト環境を後のデバイス・テスト工程でも利用可能にし、テスト品質の向上と市場投入までの時間短縮を実現します。
また、前工程試験、後工程試験、システム・レベル・テストなど、異なるテスト環境間でのテストデータの交換や共有を容易にします。

「Link Scale™」により大規模なテストを要する複雑なハイエンドデバイスの普及に貢献することで、より快適な社会と暮らしを支えます。

Industry 4.0 自動化されたテスト・セルを実現

アドバンテストは、顧客との連携により、後工程テストの自動化を実現しました。
省人化、最適化されたオペレーションにより、テスト・セルの稼働率向上を実現することで、1テスト当たりのエネルギー効率が改善して温室効果ガスの削減にも貢献します。
このシステムは、アドバンテストの SoCテスト・システム「T2000」とテスト・ハンドラ「M4841」という2つのハードウェアと、これを制御するソフトウェア(顧客製)で構成されます。ソフトウェアで制御された自立走行ロボット車両がトレイを載せて、デバイスの保管場所とハンドラの間を移動します。ソフトウェアは、工場内の仕掛品と装置の稼働状況を管理する、リアルタイムのIndustry 4.0トラッキングシステムとやり取りしながら、テスタとハンドラのモニタリングと制御をします。こうしたテスト・セルとソフトウェアの組み合わせによって、完全に自動化されたテスト工程が実現し、機械学習とモニタリングによって歩留まりの向上とプロセス全体の効率化、そしてコスト・オブ・オーナーシップの削減が可能になります。

アドバンテストは「進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求」というビジョンに向かって、今後も世の中に役立つ技術開発で貢献していきます。

nanoSCOUTER™による生命科学領域への挑戦

nanoSCOUTER™

nanoSCOUTER™

アドバンテストは将来に向けた取り組みとして、これまで培ってきたナノレベルの半導体加工技術・電子線描画技術、3次元測長電子顕微鏡による計測技術および精密電子計測技術を用いて、半導体・通信分野を超えた領域での開発を進めています。
nanoSCOUTER™(ナノスカウター)は、半導体プロセスで作られた精緻なナノポア(ナノメートルスケールの細孔)センサーモジュールと、創業時から磨いてきた極微小電流測定技術により、ウイルス、エクソソーム、リポソームなど、数十ナノメートルから数百ナノメートルオーダーの微粒子の数量と粒径を、高精度かつ高速で計測する微粒子計測器です。この精度の高い測定を安定に行えることから、機械学習と組み合わせることで、新型コロナウイルスを短時間で高精度に識別できることが確認されました。今後、新たなウイルスを含めた生体に関わる様々な微粒子の検査をはじめ、環境や産業分野への応用が期待されます。

テラヘルツ波解析技術の応用による社会の発展への貢献

テラヘルツ・イメージングシステム、分光システム

左)TAS7500IM
右)TAS7500SP

テラヘルツ波とは、一般に100GHz~10THz(10,000GHz)の周波数領域の電磁波を指します。この周波数領域では、電磁波と物質との特徴的な相互作用を観測できます。また、不透明な樹脂、セラミックス、布などを透過するため、非破壊検査としての利用が期待されています。さらに、次世代の無線通信Beyond 5Gでは、100GHzを超える周波数の電波利用が計画されています。近年では、天文台の電波望遠鏡でも使われる周波数です。

アドバンテストは、これまでテラヘルツ波解析技術の研究開発と装置の製品化に取り組んできました。独自のサンプリング方式によりテラヘルツ波を高速かつ高精度で測定できる分光装置TAS7500/TAS7400シリーズを製品化し、国内外の大学や天文台をはじめとした研究機関が使用しています。また、次世代無線通信に向けて、各種材料の伝達特性の評価に適した高周波数分解能の製品も提供します。
さらに、短パルス信号処理技術を応用し、3次元実装された最先端半導体デバイスの故障を非破壊かつ高精度に解析するTS9001 TDRシステムを提供し、半導体の進歩を支えます。

テラヘルツ波は、無線通信や半導体、自動車の先進運転支援システム(ADAS)、構造物の非破壊検査、医薬品、医療など、様々な分野での利用が拡がっていきます。アドバンテストはテラヘルツ波解析技術を通して社会の発展に貢献します。